2019年7月17日(水)午後4時より築地・新喜楽にて開催された直木賞選考委員会にて、第161回直木賞に大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が選ばれました。
作品概要
虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた──
「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。
末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。
弟分に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。
筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──
プロフィール
大島真寿美
1962年生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉『チョコリエッタ』2003年角川書店刊。『虹色天気雨』06年小学館刊。『ふじこさん』07年講談社刊(「春の手品師」併録)。『戦友の恋』09年角川書店刊。『ビターシュガー』10年小学館刊。『ピエタ』11年ポプラ社刊=第 9 回本屋大賞第 3 位。『あなたの本当の人生は』14年文藝春秋刊=第152回直木賞候補。『空に牡丹』15年小学館刊。『ツタよ、ツタ』16年実業之日本社刊。『モモコとうさぎ』18年KADOKAWA刊、他。
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