書評

現代なら、ダメンズにつかまるタイプ

文: 小日向えり (タレント・エッセイスト)

『ゆけ、おりょう』(門井慶喜 著)

『ゆけ、おりょう』(門井慶喜 著)

 一八五九年(安政六年)、横浜港開港の機運に乗り、田中屋はハリスなど多くの外国人に接待や迎賓館として利用されたそう。「おりょうさんはお酒が強く、気丈な性格で、ひいきにしていたお客様も多かった」と、女将さんが教えてくれました。おりょうさんは英語が堪能で、大勢の外国人客を前に堂々ともてなしたといいます。

 

「坂本龍馬の妻」としてあまりに有名なおりょう、こと、楢崎龍。

 龍馬亡きあとは、各地を転々とし、晩年は横須賀の長屋で貧しい暮らしをし、お酒を飲んでは「龍馬が生きていたら、私は公爵の妻になっていた」と管を巻いていたと、落ちぶれたイメージを持たれていますが、この時代のおりょうのことはあまり知られていません。

 

 大学を卒業した私は、タレント活動を続ける中で歴史好きを公言するうちにいつしか、「歴ドル(歴史が好きなアイドル)」と呼ばれるようになりました。

 同じく歴史好きだった事務所の社長がある日、「面白いよ」と教えてくれたのが、門井慶喜さんの『家康、江戸を建てる』でした。家康ではなく無名の人物中心、戦いではなくて都市設計がテーマ。それまで門井さんの作品は未読だったのですが、独特の眼のつけどころがとても面白くてファンになり、私も色々な人にお薦めしました。

 

ゆけ、おりょう門井慶喜

定価:本体760円+税発売日:2019年08月06日


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