
『笑っていいとも!』に出るのが夢だった。
テレフォンショッキングじゃなくてレギュラーで。
タモリさんや関根(せきね)さんや鶴瓶(つるべ)師匠やSMAPのだれかと並んでステージに立って。
新宿アルタからお茶の間に笑いを届けたい。
子どものころからずっと夢見ていたのに間に合わなかった。
あとちょっと、あともうちょっとだったのに。
二〇一四年三月三十一日、一人暮らしのアパートで膝を抱え、砂を噛むような思いで金木真亜子(かなきまあこ)はいいとも最終回を観た。
芸歴十年にして世間に顔と名前が浸透しだし、街で声をかけられることも増えてきて、体感としては八合目あたりまできているかんじだった。突然のいいとも終了は、まさに青天の霹靂(へきれき)であった。テレビがあるかぎり、いいともだけは永遠に続くんだと思っていた。頂上まであと少しと思っていたところで、強制的に山を降ろされてしまったこの気持ちをどう表現したらいいのだろう。
無念。
かつては夢と希望でぱんぱんに膨らんでいた胸に、その二文字が浮かんだ。
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