
- 2019.11.13
- 書評
角栄が嘆いた、「哲人宰相」志半ばの急逝 いま明らかになる保守政治家の真髄
文:渡邊満子 (大平正芳外孫/メディアプロデューサー)
『増補版 大平正芳 理念と外交』(服部龍二 著)
私の母方の祖父・大平正芳は、日韓併合と大逆事件が起きた一九一〇(明治四三)年に生まれ、一九八〇(昭和五五)年、現職の総理大臣として殉じた。来る二〇二〇年に、生誕一一〇年、没後四〇年という節目を迎えるにあたり、大平の事績を丹念に辿り評価した、服部龍二氏の『大平正芳 理念と外交』が復刊されることは喜ばしく、また、解説のご依頼をいただいたことは大変光栄なことだった。
服部氏は『田中角栄』『佐藤栄作』をはじめとして、その人物と誠実に向き合った評伝を数多く上梓されている。学問を重んじ、学者との対話を心からたのしんでいた生前の大平と服部先生が出会っていたら、どんなことを話し合っただろうか。そして、いまの日本にどんな思いを持つのだろうか。ここでは、孫が記憶する大平正芳の姿を回顧し、本書を通じて大平からいま何を学ぶべきか考えてみたい。
本書では、大平の生涯にわたる事績が紹介されているが、外相としての活動に多くの紙数を割く。「日中両国が友好協力関係を持つことはアジア地域の安定にとって大きな要件となっている」と華国鋒総理に語った(本書二一三頁)ように、終生の盟友であった田中角栄と取り組んだ中国との関係改善は、現在につながる業績だと思う。
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