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〈恐怖の帝王〉スティーヴン・キングの最高傑作『IT』。映画と小説で2倍のスリルを楽しむ 

文: 永嶋 俊一郎 (翻訳出版部部長)

『IT /イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』まもなく日本公開!

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 11月1日、『IT /イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が日本公開となります。原作はホラーの巨匠スティーヴン・キングの代表作『IT』。一昨年に公開され、ホラー映画史上最大の興行収入を記録した『IT /イット “それ”が見えたら、終わり。』に続く完結編です。

 舞台は周囲に森や渓谷や小さな湖が広がる田舎町、デリー。そこでは27年に一度、町の底に眠る「何か」が目覚め、その影響で異様な犯罪が多発する。映画では1988年、少年ビルの弟ジョージーが、排水溝にひそむ「何か」によって無惨に殺害されることから、物語ははじまります。子供の失踪はデリーの町で相次いでおり、ビルは小学校のはみだし者の仲間たちと夏休みをすごしながら、この謎と相対することになります。邪悪な何か――「It」――は、ペニーワイズという名のピエロの姿で彼らの前に姿をあらわし、彼らそれぞれの恐怖を梃子にして、ビルたちを脅かすのですが……。

 これが映画第1弾『IT /イット “それ”が見えたら、終わり。』の物語でした。しかし原作『IT』は、27年後にふたたび目を覚ました「It」を倒すため、大人になった「はみだし者」たちが故郷に帰ってくる1985年の物語が、過去の物語と同時並行する構成となっていました。「またItがよみがえったら、みんなでこの町に集まろう」と、あの夏、約束していた彼らが、少年時代の記憶をたびたびよみがえらせながら、「It」を倒すための過去と現在の二つの戦いを演じるのです。

 この複雑な構成を、現代最強のストーリーテラーでもあるスティーヴン・キングは、登場人物たちの記憶を手がかりに、「過去」と「現在」、「子供」と「大人」の物語を見事によりあわせることで一気読みの物語に仕上げています。二つの物語が怒涛のように合流して同時にクライマックスを迎える一世一代の話術は、圧巻というほかありません。

IT(1)スティーヴン・キング 小尾芙佐

定価:本体950円+税発売日:1994年12月10日

IT(2)スティーヴン・キング 小尾芙佐

定価:本体950円+税発売日:1994年12月10日

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定価:本体950円+税発売日:1994年12月10日

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