- 2019.12.19
- 書評
「コミュ障」投資家・村上世彰が、本当に伝えたかったこと
文:池上 彰 (ジャーナリスト)
『生涯投資家』(村上世彰 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
“金の亡者”であるかのような印象が世間に広まった村上氏ですが、本書を読むと、まるで少年のような正義感を持った人物である姿が見えてきます。投資を通じて世の中のお金の流れを円滑にし、経済を発展させたいと強く願っているのです。
現在では日本の株式市場でもコーポレートガバナンス・コードが策定され、村上氏が当時主張していたことは、徐々に実現されつつあります。村上氏は、「日本の市場での自分の役割は終わった」と言って、シンガポールに居を移し、東南アジアへの投資に乗り出しています。
その一方で、日本国内では中学生や高校生に投資教室を開いています。村上氏が設立した財団を通じて子どもたちに投資の元手を渡して投資させます。損失が出ても返済の必要はなく、元手より増えた分は、お小遣いとして受け取れる仕組みです。
投資で経済を活性化させたい。そんな思いが伝わってきます。
検察に逮捕されても有罪判決を受けても、投資についての信念は揺るがない。まさに「生涯投資家」なのでしょう。
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