書評

「コミュ障」投資家・村上世彰が、本当に伝えたかったこと

文: 池上 彰 (ジャーナリスト)

『生涯投資家』(村上世彰 著)

『生涯投資家』(村上世彰 著)

 村上世彰氏は毀誉褒貶激しい人だ。その理由は、他人に自分の考えを伝える技術が稚拙だから。要するにコミュニケーション下手なのですね。本人もそれは自覚していて、「はじめに」で、こう書いています。

〈もともと短気な私は、自分の伝えたいことがわかってもらえなかったり、質問に対してはぐらかすような回答が返ってくると、ついつい前後を省いて要点のみを畳み掛けるように話してしまったり、口調がきつくなってしまう。ベースにあるのは「わかってもらいたい」という願いなのだが、「物には言い方がある」と指摘されるように、私のコミュニケーション方法が拙いせいで、いまだに世の中の印象は悪いままだ〉

 これはおそらく村上氏の頭が良すぎるからではないでしょうか。「この程度の言い方で充分わかってもらえるだろう」と言葉を省いてしまうので、一般の人には理解できないのです。まして疑い深いメディアの人間は、「村上氏の省略した話し方の裏には何かがあるに違いない」と思ってしまうのでしょう。

生涯投資家村上世彰

定価:本体670円+税発売日:2019年12月05日