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書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

文學界1月号

書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

「文學界 1月号」(文藝春秋 編)

――柳さんは二〇一五年に福島県南相馬市に移住し、現在は作家業のかたわら本屋「フルハウス」を経営されています。JR常磐線の小高駅から徒歩三分、目抜き通りに立地していますね。

  今は店がぽつぽつありますが、避難指示解除後一、二年はずいぶん暗かった。この道の先には小高産業技術高校(小高工業高校と小高商業高校の統合校)があるんですが、部活帰りの学生は心細かったろうと思います。駅は午後六時以降は無人になります。駅舎にはエアコンもついていない。第二の駅舎になればいいなと思って、本屋を始めました。

――この地に移られて、本屋を始めるに至ったいきさつを教えていただけますか。

  東日本大震災と原発事故のあと、ご縁があって南相馬の臨時災害放送局でボランティアの仕事をしました。二〇一二年三月から二〇一八年三月まで、地元住民お二人に出演していただくラジオ番組「ふたりとひとり」(毎週金曜放送)を継続し、六〇〇人のお話を収録しました。

 最初の三年間は収録のたびに、当時住んでいた鎌倉から南相馬に通っていたんですが、時間的にも金銭的にも厳しくなり、二〇一五年三月に思い切って南相馬市原町区に引っ越しました。「ふたりとひとり」に小高工業高校の井戸川義英先生に出演していただいた時に依頼され、これもボランティアなんですが、現国の時間に文章表現と自己表現の講義を担当し、計二十二回行いました。

文學界 1月号

2020年1月号 / 12月7日発売
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