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書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

文學界1月号

出典 : #文學界

「文學界 1月号」(文藝春秋 編)

――このあたりは避難指示が解除されてまだそんなに時間が経っていないのですよね。

  二〇一六年七月十二日に、原発から二十キロ圏内の南相馬市小高区に出ていた避難指示が解除され、他地域に避難していた方々の帰還が許可されたものの、もともと一万二八四二人いた住民の中で帰還したのは一〇〇〇人くらいでした。住民説明会にも何度も参加したんですが、住民側は生活インフラが整備されていないなどの理由で、帰還しても生活が成り立たないと言い、事業者側は帰還人口が増えないと事業を再開できないと言う。けれど、小高産業技術高校は旧「警戒区域」で初めて元の場所に戻ることが決定し、二〇一七年四月から約五〇〇人の生徒が通学し始めました。それで、暗い町の灯りとなる店を開こうと思い立ったんです。

 そもそも私は十六歳の時に高校を退学処分になり、家出をして演劇の世界に飛び込みました。十八歳で青春五月党を主宰し、二十代半ばから小説を書き始め、書くこと以外で収入を得たことがありません。アルバイトの経験すらない。店をやるとしたら、本屋しかないのかなと思いました。でもその話を担当編集者や書店員の方にすると「やめたほうがいい」「大借金を背負う」と反対しかされませんでしたが。

文學界 1月号

2020年1月号 / 12月7日発売
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