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小説「影裏」と映画「影裏」。二人の表現者が語る、共通する世界 沼田真佑(作家)×大友啓史(映画監督)

小説「影裏」と映画「影裏」。二人の表現者が語る、共通する世界 沼田真佑(作家)×大友啓史(映画監督)

「影裏」映画公開記念対談


ジャンル : #小説

──よく、「小説の世界観をそのまま映像化してほしい」という作家の方もいますが、沼田さんはいかがですか。

沼田 僕は全くそうは思いませんでしたね。翻訳小説でも、翻訳家が入ることでまた別の作品になる。映画化に関しても、自分がそこで何か言う、ということはなかったです。すごい人たちに構っていただいて、嬉しかったです。

大友 こちらこそありがとうございます。

沼田 映画になる、というのは普通はないことですから。

大友 普段自分が撮っている作品は、エンタテインメントが多いんです。プロットの面白さ等で物語をどんどん転がしていって、興味を喚起していく。それに比べて「影裏」は、ストーリーを転がしていくというよりも、ディテールの面白さで、物語を動かしていく。人物の輪郭があいまいだけれど生々しい、そういう人物が具体的に自分の故郷・盛岡で動きだすのを見てみたい──映像化については、そういう気持がまず強かったですね。

©2020「影裏」製作委員会

──沼田さん、「影裏」の映画を実際に見られて、いかがでしたか?

沼田 そうですね。自分がこの小説を書くときに、まず柱としていた「水」「火」「木々」、そして空気、というか「人間関係」。映画でもこの4つがすごく鮮明に描かれて、互いに響きあっている感じがしました。そしてとにかく映像が綺麗でしたね。

文春文庫
影裏
沼田真佑

定価:605円(税込)発売日:2019年09月03日

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