最高裁判所を訪れた柚月裕子さん。裁判所内を見学した後は、なんと、最高裁で特別ファンミーティング! 最高裁判所に勤務する柚月作品ファンに集まっていただきました。
柚月 今日はこんなにたくさんの方にお集まりいただきありがとうございます。先ほど最高裁判所内を見学させていただいたのですが、天井が高い大ホールや、15の裁判官席がずらっと並ぶ大法廷など、厳粛さに圧倒されました。
A ここにいる皆は、いまは最高裁判所勤務ですが、家裁調査官や裁判官、書記官など、役職は様々です。私は家裁調査官補として採用されたので、『あしたの君へ』を読んで、自分のカンポちゃん時代を思い出しました。
B 私も去年まで家裁調査官として現場にいたので、同期とのやりとりなど、職場の雰囲気が再現されているのもおもしろかったです。
C 柚月さんの「佐方貞人シリーズ」の大ファンなんです。いま、裁判所は全面禁煙なので、今後、佐方のような喫煙者がどうするのか心配しています(笑)。
D 昨年までは、裁判官として地方の家庭裁判所に勤めていたので、『あしたの君へ』を読んでいると、自分が担当していた案件なども頭に過りました。
柚月 やはり、現場を離れても、担当していた案件を思い出すこともありますか?
D もちろんあります。家裁では、扱う事件の内容や当事者の苦しみが、より身近なものだったり、誰にでも起こりうることだったりするので、ふとした瞬間に思い返すことも多いです。
柚月 私も、これまでは「佐方シリーズ」や『孤狼の血』にしても、大きな事件を題材に扱うことが多かったんです。でも、実際に自分の身に起こりうることは、家庭裁判所で扱うような案件なんですよね。そんなことを考えている時に、家裁調査官という仕事を知り、当事者に一番近いところで案件にかかわる仕事だと感じたことが『あしたの君へ』の執筆に繋がりました。