コラム・エッセイ

こいつぁいけねぇ

髙田 郁

#あしたを読む #言葉で元気に #コロナで思うこと

 身体に良いのに、毎日は食べない。何か悔しいなあ、と思っていた矢先、「無糖のあずき」(井村屋)なるものを見つけた。小豆を煮汁ごと煮詰めて、ほのかな塩味をつけたものだという。試しに取り寄せてみて、「!」。もうね、小豆なんですよ(当たり前だけど)。まんま、小豆。これがやたらと後を引いて、美味しい。結果、定期的に箱で買って、執筆の合間に食べるようになった。小さな粒を掌に受けて口に運ぶ度に、江戸時代に小豆の果たした役割を思い、しんみりとする。

 今、コロナ禍が世界を襲い、私たちは不安の中に生きている。江戸時代に比べて格段にレベルの高い医療に恵まれながら、闇の中を手探りで歩くような毎日だ。二百年前の先祖たちも、おそらく、同じ思いで流行り病と向き合ったのではなかろうか。

 ささやかなことだけれど、私もご先祖さまと同様に、日々、小豆を食べて邪気を祓い、免疫力を高める努力をしようと思う。どうせなら、怯えて恐れて暮らすばかりではなく、美味しく食べて「こいつぁいけねぇ、いけねぇよぅ」と身を捩(よじ)って笑っていたい。

 そんなわけで、煮小豆を使った小豆粥の簡単レシピをひとつ。


        〇材料
        白米 1カップ
        水 7カップ
        煮小豆(無糖のもの) 45グラム

        〇下ごしらえ
        お米は研いで、30分ほど笊(ざる)に上げておく。

        〇作りかた
        (1)鍋(底の厚いもの。出来れば陶器の行平鍋)にお米と水を入れて火にかける。
        (2)沸騰したら煮小豆を入れて、弱火でことこと炊く。目安は30分。
        (3)味を見て、好みで塩少々を加える。
        (4)蓋をして10分ほど蒸らす。

        〇ひとこと
        米1に対して水が7の「七分粥」です。
        さらりとして食べやすいのですが、お好みで水を加減してください。

※煮小豆が手に入らなければ、自分で作りましょう。小豆を洗って、ひたひたの水で茹で、一度茹でこぼして渋切りをし、新たに水を入れて少々固めに茹で上げてください。

 お粥を色よく仕上げたい場合、この時の茹で汁を用います。分量まで水を足して使ってくださいね。


オール讀物6月号より