本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
マスコミ露出の多寡ではわからない「知事の実力」とは? 前鳥取県知事が自らの体験を元に解説!

マスコミ露出の多寡ではわからない「知事の実力」とは? 前鳥取県知事が自らの体験を元に解説!

片山 善博

『知事の真贋』(片山 善博)

出典 : #文春新書
ジャンル : #政治・経済・ビジネス

『知事の真贋』(片山 善博)

 さらには、地方分権の流れの中で、保健所機能を都道府県から中核市や特別区に移管する制度改革が実施されました。地方分権は一般的には進めてしかるべきですが、分野によってはよく熟考すべきことがあります。保健所行政はその一つです。

 保健所業務のうち例えば子育てや健康管理などは、住民に身近な市町村が担うのがふさわしいと思います。したがって、この分野はできるだけ市町村に移譲するのがいいでしょう。しかし、感染症予防に関する業務は、その性質からして狭域の市区町村の業務にはなじみません。引き続き都道府県が国と密接に連携して行うのが合理的だと思います。

 ところが、業務の綿密な仕分けがされないまま、一部の地域で保健所は一体として移管されました。関係法令の改正は国が行ったものですが、都道府県の側では一体移管の是非を真剣に考えていたようには思われません。移管が新型コロナ対策にどう影響したか、今後検証する必要があります。

 ともあれ、都道府県はこうした事情の下で、新型コロナウイルスに虚を突かれたといえます。初期段階ではウイルスの性質など正体は不明。限られた手段と資源で時間との戦いを強いられたわけですから、試行錯誤を免れません。かつて知事を務めた者として、その苦労は痛いほどよくわかります。

 ただ、そんな状況の中で四十七都道府県の様子を見ると、その対応策や成果は、それぞれの知事の考え方やリーダーシップのありようによって大きく左右されるとの印象を強く受けました。

 現状をしっかり把握し感染拡大を着実に抑えている知事もいれば、必ずしもそうでない知事もいる。国の指針に忠実に従っているだけの知事もいれば、現場の実態に基づき臨機応変に対応している知事もいる。マスコミを通じて露出度が高い知事もいれば、そうでない知事もいる。でも、内情をつぶさに知ると、知事の露出度と成果とは必ずしも相関関係がないということがわかります。

 本書では、もっぱら知事の考え方や行動に焦点を当て、他の範とすべき対応や逆に反省すべき対応などを取り上げることによって、今後まだまだ続くであろう新型コロナウイルス対策が適切かつ効果的に実施されることを期待するものです。

 本書の中には何人かの知事に不愉快な思いをさせる記述があるかもしれません。ただ、決して他意はありませんし、あるいは私の事実誤認や理解不足もあるかと思います。関係する知事にはここで失礼の段をご寛恕頂くようあらかじめお断りしておきます。

 二〇二〇年十月

片山善博


(「はじめに」より)

文春新書
知事の真贋
片山善博

定価:880円(税込)発売日:2020年11月20日

プレゼント
  • 『いけないⅡ』 道尾秀介・著 

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2022/9/30~2022/10/7
    賞品 『いけないⅡ』 道尾秀介・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る