小説誌「オール讀物」2月号(1月22日発売)「『将棋』を読む」と題し、創刊90年の長い歴史でも初の「将棋」特集号を展開しています。
直木賞の発表媒体としても知られる「オール讀物」ですが、かつて「文壇将棋」を掲載するなど「将棋」との縁は深く、作家と棋士の対談をたびたび掲載し、「読む将棋」の源流ともいえる企画を生み出してきました。また、「文藝春秋」や「オール讀物」を創刊し、文壇きっての将棋愛好家でもあった菊池寛も「人生は一番勝負なり、指し直すこと能わず」という名言や、将棋にまつわる数々のエッセイ、そして小説を残しています。
現実の将棋ブームと呼応するかのように、近年、将棋を題材にした名著が続々刊行されていることや、現・日本将棋連盟会長の佐藤康光九段には「オール讀物」誌上で、2008年から「緻密流将棋日記」を執筆いただいているなど、諸々のご縁もあり、今回、将棋特集を組むことになりました。
特集では、まず『うつ病九段』(文春文庫)も話題の先崎学九段と室谷由紀女流三段が、菊池寛の小説「石本検校」に登場する棋譜の謎に挑む様子を描いた、北村薫氏のミステリー短篇「菊池寛の将棋小説」のほか、芦沢央氏と平岡陽明氏のオリジナル読切小説が掲載されています。
さらに棋士との親交が深く腕前も有段の直木賞作家・黒川博行氏と、将棋小説ブームの嚆矢となった『盤上の向日葵』の著者・柚月裕子さんが、棋士の意外なエピソードを語り合う対談、グラビアは「作家と棋士」と題し、逢坂剛氏のエッセイとともに伝説の棋士たちと文豪との交流を紹介。
また綾辻行人氏、貴志祐介氏、塩田武士氏ら文壇の将棋ファンが、イチオシの棋士を紹介するエッセイ、そして、佐藤康光九段が、藤井聡太二冠をはじめとする群雄割拠の現状を語るインタビュー、将棋本の名作リストなど、老舗小説誌ならではの切り口で、将棋の楽しみ方、そして小説と将棋の奥深い世界をお伝えしています!
ぜひ小説誌「オール讀物」で「読む将棋」を楽しんでいただければ幸いです。
作家・逢坂剛氏(グラビア「作家と棋士」を寄稿)のコメント
将棋も小説も、ああでもないこうでもないと、考えながら先へ進むところが、よく似ている。相手(読者)に先を読まれそうだと察すれば、すかさず方針を変えて奇手を放つ。「棋士は小説を書かない小説家」「小説家は将棋を指さない棋士」なのである。
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