
- 2021.02.18
- インタビュー・対談
みうらじゅんと清張さんとの共通点は、タバコと部屋とメガネと唇!?
『清張地獄八景』(みうら じゅん)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#随筆・コミックエッセイ
――『清張地獄八景』の巻頭に掲載されている、みうらさんと清張さんの執筆風景がそっくりで驚きました。
みうら 僕も原稿を書くときはずっとタバコを吸っていますからね。物書きイコールチェーンスモーカーというイメージは、清張さんの影響が大きいのではないでしょうか。昔からロックな人と文豪はタバコを吸ったもんですよ。僕も清張さんに憧れて、いまだに原稿用紙に手書きだし、事務所で原稿を書くときは常にタバコを吸っています。自宅では1本も吸わないくせにね。昔、『8マン』って漫画があって、8マンは「タバコ型の強化剤」を吸って電子頭脳を冷却するって設定だったんですが、その刷り込みか、いまだにタバコを吸うといいアイデアが湧いてきて面白い原稿が書けるんじゃないかって思い込んでいてね。今日も元気だ、タバコも原稿もウマイってね(笑)。
―― 筆記具は何をお使いですか?
みうら もっぱら0.7ミリのシャーペンですが、一時期、清張さんの真似をしてモンブランの万年筆で書いていたことがあったんです。でも、ノリで書いているせいか書き損じが多くて、原稿用紙がもったいないからやめました(笑)。清張さんは書くときに迷いがないんでしょうね。頭の中でお話がかっちり出来上がっていたんだろうなあ。
――みうらさんはタバコもアナログといいますか、タバコも紙なんですね。
みうら もっぱら紙タバコですよ(笑)。もし今の時代に清張さんがおられたら、ニオイも気になるし、奥様に注意されて加熱式タバコに変えられていたかもしれませんね。小倉の「松本清張記念館」で、移築された清張さんの書斎を見たら、絨毯にタバコのコゲ跡がいっぱいあったんですよ。今回の本に載っている奥様のインタビューでも「着物が灰だらけでコゲ跡があった」とおっしゃっていましたし。昭和なら「文豪はそうしたものだ」で許されたけど、令和にコゲ跡はヤバイでしょ(笑)。とはいえ、やっぱり犯罪小説に出てくる登場人物は加熱式よりも紙タバコが似合いますよね。吸殻でDNAが検出されてアリバイが崩れたりしますから。
――みうらさんと清張さんは、仕事場が雑然としている感じも似ています。
みうら それは部屋が散らかっているってことですよね(笑)。坂口安吾さんの執筆中の有名な写真も相当散らかっていましたけど、あの写真には少し演出っぽいニオイがしたしね(笑)。でも清張さんの書斎の散らかり具合は理にかなっていると思います。僕の仕事場もヘンな置物とかいっぱいあって散らかっていますけど、実は全部必要な資料として置いてあるものですから。
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