(6/28 書店員さんの声を追記しました)
直木賞『鍵のない夢を見る』本屋大賞『かがみの孤城』、そして河瀨直美監督の映画化で話題となった『朝が来る』など、これまでも数々の話題作を送り出してきた辻村深月さん。待望の2年ぶりの新刊長編『琥珀の夏』が6月9日に発売になりました。
カルト集団の跡地で見つかった子どもの遺体は、あのときの友だちなのか……。「あの夏」に起きたことは、何だったのか。30年の時を経て、記憶の扉が開く。「辻村さん史上最高傑作」との声もあがるほど注目の本作。辻村深月さん本人のメッセージとともに、書店員さんの声をご紹介いたします。
■辻村深月さんメッセージ
■書店員さんの声
丸森ひなのさん(紀伊國屋書店新宿本店)
夜と朝が繋がっているように、子どもと大人は地続きだ。
そんな当たり前のことに涙してしまいました。
子どもと大人、どちらも置き去りにしないまぎれもないこれは辻村さんの新しい代表作です。
石坂華月さん(未来屋書店大日店)
美しい琥珀の中に閉じ込めていた記憶が砕け、一章ごとに断片的に明らかになる物語は圧巻だ。
読んでいくうちに、自分が経験したわけでもないのに、心の中にいた記憶のあの子に大人の私が赦しをこう。
ラストシーン、夏の余韻の残る秋の日差しなんとも言えず心地よく、小さくため息をついて本を閉じました。
凄かったです!! 一気読みでした。
宇田川拓也さん(ときわ書房本店)
“新たな代表作”の惹句に偽りなし。
少女の心の機微、過去に迫る緊張感、目を見張る衝撃、いまを生きる母たちに注ぐ眼差し、そしてなにより最終章の熱量に圧倒されました。
山津彩夏さん(三省堂書店岐阜店)
何かあるんだろうな、何かあるんでしょ? と思い続けて、あのページ……キターーっ!! てなります。
“助ける”より“助けを求める”方が難しい。
相手のことを考えすぎて思い込んで、結局何もできなくなったり、声すらあげられなくなる。
そんな苦しさや、それを吐き出せたときのうれしさをこの作品から改めて感じさせられました。
山中真理さん(ジュンク堂書店滋賀草津店)
感想を言い現そうと思うが、煌々と光るまぶしさがそれを許さない放心状態。言葉を失う傑作。
光が見えるラストに救われた。
辻村深月さん、やっぱりすごい作家だ。この作品は最高を更新した。
西田有里さん(ジュンク堂書店名古屋栄店)
「私のかつての友達はいったいどこにいってしまったのか」と、足元が抜け落ちる感覚に襲われました。
私が閉じ込めた琥珀の中の友達に呼ばれているようで、小学生時代、あんなに濃い時間を過ごしていたのに、あの子もこの子も今は何をしているのだろうか。
すごい物語を読んでしまった!!
礒野あかねさん(喜久屋書店帯広店)
子どもの視点と大人の視点を、いったり来たりしながら不穏に物語が進んでゆく。
“続きが知りたい”、“この先が読みたい”が止まらない。
問題が解決したかと思ったら、そこからが小説の不穏の核心部にせまっていく「入口」だったという構成はさすが。
藤原七都恵さん(ジュンク堂書店松山店)
「小さなこの子には、母親が腕を差し出したらその手を取らないという選択肢はないのだと思ったら、」(P.444)
私も子を持つ母親として、何度もこのような気持ちになったことがあります。
読んでいて何度も、ノリコは私ではないか? と思いました。
そして〈ミライの学校〉で育った子供たちのミライを思うと胸がギュッと押しつぶされそうになります。
子供はミライだ、と私も思います。
しかしその子供のミライのために、私たち大人は、その子の「今、その時」を大切に見てあげられているか、と自分に問い考えさせてくれる、とても大切な作品の1つになりました。
“あの夏”に交差した2人の少女か、30年の年を経て明かされる罪、幼き日々の記憶。クライマックスに向けて涙がこみ上げてきました。
高橋茜さん(文教堂二子玉川店)
子ども時代の美しい思い出の中の人々にも、自分たちと同じように等しく時間が流れているということを、この本を読むまで、ずっと忘れていたような気がする。
忘れて大人になってしまった思い出の続きを、頭から浴びて目眩がする。
でも「また、ここから続いていくのだ」と思うと、それは美しくなくても、形が変わってしまったとしても、「希望」でしかないと感じた。
大切なことを思い出させてくれてありがとうという気持ち。
五十嵐祥子さん(こまつ書店寿町本店)
さすが辻村深月。重たいテーマにもかかわらず、心が熱くゆさぶられるような人間ドラマが感じられる。
あの一言は少女から主人公へのSOSだったのかもしれない。
佐伯敦子さん(有隣堂藤沢店)
子供の頃に友達に誘われるがまま参加した合宿。
違和感をおぼえながらも、学校以外のところで友達ができる楽しさ。
そして、そこでの子供同士のちょっとしたいざこざ。
月日は流れ、遠い記憶の中での出来事がある事件とつながっているかもしれない。
もしかしたら、いなくなったのは、いつまでも友達でいようと言っていたあの子なのかもしれない。
幼い日の友情が、30年の時を経て動き出すとき、そこにはたくさんの知られざる真実があったのだと、あらためて気づくことになります。
子供の頃に見えなかったものがだんだんとくっきりと現れてくるように。
そしてあの頃、永遠に続くと思われた日々や友達が、いつの間にかどこか遠くへ行ってしまっていることに、ある日、気づかされるのだなあと思いました。
この作品、辻村先生史上の名作ではありませんか?
本当にすごい作家だとあらためて感じました。
小川誠一さん(谷島屋 ららぽーと沼津店)
「幼馴染とはある意味、過去の亡霊なのかもしれない」
『朝が来る』で衝撃を受けた。そしてこの作品『琥珀の夏』でまたもガツンと来た。過去と未来を行きつ戻りつ、絶妙な間合いを図りながら読者に迫ってくる。
不安と安堵を織り交ぜながら徐々に姿を見せ語り掛けてくるのは、遠い記憶の中に埋もれていた幼馴染だった。
エンディングに近づくに従い、そこに弱さや幼さだけでなくひときわ輝く純真さを見つけることができたのは、そばに彼らがいたからだろう。
幼馴染とはある意味、自身にとって過去の亡霊かもしれない。怖くもあり、懐かしくもある。
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