本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
「ほとんど錯乱」甘利明、平井卓也vs小川淳也、枝野の逃げ方 《衆院選ルポ》「香川1区」に潜入! 

「ほとんど錯乱」甘利明、平井卓也vs小川淳也、枝野の逃げ方 《衆院選ルポ》「香川1区」に潜入! 

プチ鹿島

3月9日発売『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(プチ鹿島)


ジャンル : #随筆・コミックエッセイ

 改ざんなし黒塗りなし!

 時事ネタを得意とするお笑い芸人が、忘れちゃいけないあの出来事を徹底記録。

 3月9日に発売のプチ鹿島政治コラム集『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』から「第一章 優柔不断? 朝令暮改? 本当は怖い岸田政権」より「“ほとんど錯乱”甘利明、平井卓也vs小川淳也、枝野の逃げ方 《衆院選ルポ》「香川1区」に潜入! 」をご紹介します。


『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(プチ鹿島)

「ほとんど錯乱」甘利明、平井卓也vs小川淳也、枝野の逃げ方 《衆院選ルポ》「香川1区」に潜入! 

現職自民党幹事長が落選したが

 大変だ。日本が沈没してしまう。10月31日、底知れない恐怖にずっと襲われたまま夜を過ごした方は多かっただろう。

 恐怖の震源地は「神奈川13区」だった。自民党の幹事長・甘利明氏が「予告」していたのである。

 甘利氏は総選挙終盤に「私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている」と演説。自分を落選させたら日本が大変なことになると言い切っていた。

 これは読売新聞オンラインが10月29日に報じたものだが、翌日に発売されたタブロイド紙「日刊ゲンダイ」はさらに詳しい演説内容を報じていた。

 甘利氏は経済安全保障に話が及ぶと《「私は未来を見通せる」と言いだし、「その私がいなくなれば大変なことになる」「未来は変わっちゃう」と訴えた。最後は「私の手の中には日本の未来が入っている」「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことなのであります!」と絶叫。》

 ゲンダイは「ほとんど錯乱状態だ」と書く。ただそこまで訴えているのに「足を止める人はいなかった」とも。神奈川13区の皆さんは一体何をしているんだ! 日本がどうなってもいいのか!

 10月31日、遂に審判が下された。現役の自民党幹事長落選という衝撃。甘利氏の予告によれば、日本が大変なことになる。翌朝、恐る恐る目を覚ます。とくに異変はなかった。甘利氏が「比例復活」したことを知る。我々は間一髪で難を逃れたのだ。そこで気になるのは、甘利氏には自分の未来が見えていなかったことだった。

 今回の総選挙の特徴の一つに与野党のベテランや大物の落選がある。与党では甘利明をはじめ、石原伸晃、野党では小沢一郎、中村喜四郎、辻元清美などなど。

 私は先週末から高松市に滞在していた。「香川1区」をこの目で見るためである。ここにも大物がいた。初代デジタル大臣の自民党・平井卓也氏である。

 重要なキーワードは地元の「四国新聞」だ。県下での普及率は約6割で圧倒的なシェアを誇る。この四国新聞の社長が平井卓也氏の弟なのだ。社主は母親だから平井一族のオーナー経営。

 四国新聞はちょっと読んだだけでも「平井推し」の論調が多く、実際に平井陣営の事務所前にいた支持者に聞いたら「正直偏っているよ」とあっさり答えてくれたほどだ。

人が寄ってこない平井氏の「パレード」

 私は選挙選最終日の四国新聞に注目した。すると「30日は2カ所で演説会を行うほか、市中央商店街をパレードする」とあるではないか。

 パ、パレード?

 これはぜひ見ておかなければいけない。商店街には四国のメディア王の姿を一目見ようと人々が駆けつけるはず。

 しかし。

 人が来ない。見事に寄ってこないのである。平井氏と黄色いジャンパーを着たスタッフ軍団の「大名行列」を遠巻きに見る人たち。歌舞伎町にあらわれた見回り隊のおじさんにも酷似していた。この不思議な「パレード」がどうなるのか気になってあとについて行ったのだが、関係者以外で一緒に移動していたのは私たちだけ。その結果、私は「平井軍団」の一員のようになっていたのである。

 選挙運動ラストの1時間という劇的な状況だったがそこに熱狂はなかった。平井氏のファミリー企業・四国新聞の「パレード」という表現はかなり盛られていたことを確認した。

 そのあとライバル候補の小川淳也氏(立憲民主党)の演説を見に行くと市街地ではない場所なのに人だかり。平井氏は開票早々に小選挙区での落選が報じられた。

 さて今回の総選挙、最大の「敗者」は立憲民主党の枝野幸男代表ではなかったか。枝野氏は衆院選を「政権選択の大決戦」と言っていたが立憲の議席数はむしろ減った。

 私は枝野氏がはっきりとした勝敗ラインを示さないと口では政権交代だ野党共闘だと言っていても本当は自分の党の議席が伸びるだけでシメシメと思われてしまうのでは? と以前に書いた。

《だから野党第一党の振る舞いも問われるのだと思う。想像してほしい、政権交代ができなくても幹部の顔ぶれは同じ、そこそこの権力を握り、来年の参院選が近づいてきたらまた闘いだと叫んでみせる。この繰り返し……。》(文春オンライン10月26日)とも。

 そして立憲は負けた。いや、選挙の勝ち負けだけではない。投票日直前の枝野氏の言動に私は疑問を持った。

 それは「つみたてNISA」について、立憲の江田憲司代表代行が28日夜のBS番組で、同党が掲げる金融所得課税の強化の流れで、NISAへの課税も「同様にかけます」と発言したこと。

 この発言に対し枝野氏は「一部幹部の発言が誤解を招いていますが」とツイートしたのだ。

「誤解を招いた」というおなじみの表現。このぼやかし方は枝野氏がこれまで追及してきた自民党や官僚の逃げ方と同じではないか。もし権力側になったら枝野氏もこうなるのではないか? というシミュレーションを見せてしまった。

 今回の結果を受けて厳しい論調もさっそく出てきた。

《党内からは「候補者を一本化してもここまでの結果。党代表なのに枝野氏本人の選挙区も危なかった。辞意表明した方がいい」(若手の前職)と責任論も出ている。》(朝日新聞11月1日)

「政治的公平性」って?

 最後に「選挙報道」に関して書いておきたい。予想通り「ワイドショーの衆院選放送時間、総裁選の4割減」だったという(朝日新聞デジタル10月28日)。

 ポイントは、2014年の衆院選前に自民党がテレビ局に報道の「公平中立」を求める文書を送ったことが大きい。

《16年には当時の高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く放送だと判断すれば電波を停止させる可能性に言及した。》(同)

 では「政治的公平性」って何だろう。時の権力(自民党)が言う「政治的公平性」とは政権にマイナスなことはやるなという牽制に思える。

 不偏不党(放送法第1条にも記載)という言葉も思い出した。これは、権力から介入されないためのお守りの言葉だとばかり私は思っていた。権力に気を使う報道から自由になれるというお守り。でも最近は「拡大解釈」されていないだろうか。むしろ権力側の切り札になっていないだろうか。

 実際に先日の総裁選で誰かに比重を置いた報道をしても自民党からクレームが来たという話は聞かない。政治的公平性って「権力側の宣伝はオーケー」「政権の耳の痛いことは言うな」ということなのだろうか。

 本当はこんな論議を選挙期間中にやってほしいのです。


このつづきは本書にてお読みください。

単行本
お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!
プチ鹿島政治コラム集
プチ鹿島

定価:1,760円(税込)発売日:2022年03月09日

電子書籍
お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!
プチ鹿島政治コラム集
プチ鹿島

発売日:2022年03月09日

プレゼント
  • 『熱源』川越宗一・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2022/7/6~2022/7/13
    賞品 『熱源』川越宗一・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る