
- 2021.05.24
- ちょい読み
立憲民主党代表が、総選挙に向けて提示する、目指すべき社会のあり方
枝野 幸男
『枝野ビジョン 支え合う日本 』(枝野 幸男)
出典 : #文春新書
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
二〇一七年一〇月二日に、一人で立憲民主党の設立を宣言してから三年。二〇二〇年九月一五日、国民民主党や無所属の仲間と合流し、衆参両院で一五〇人の議員からなる新たな立憲民主党を結成した。ようやく、次期衆院選に向けて「政権の選択肢」となるためのスタートラインに立てた。
衆議院が解散された二〇一七年九月二八日、当時所属していた民進党が、小池百合子東京都知事率いる「希望の党」への、事実上の合流を決めた。翌日、私は、小池百合子氏の掲げていた理念には同意できないと考え、「希望の党」へは加わらない決断をして、地元埼玉五区の自治体議員の仲間に伝えて了解を得た。
その後、立憲民主党を結党することになるが、多くの仲間が、「希望の党」から「排除」される見通しとなった事態を受けての、急な結党だった。だが、選挙戦では私自身が驚くほどの大きなご支援をいただき、結党からわずか二〇日で五五議席を獲得して、野党第一党になることができた。
その後も紆余曲折はあったが、私たちの旗のもとに入党してくれる仲間も少しずつ増え、二〇一九年夏の参院選では、野党間の選挙区調整や選挙協力もあり、議席をほぼ倍増させることができた。
同年秋の臨時国会からは、国民民主党などの仲間と国会内の会派をともにすることになり、質量ともにトータルとしての国会での論戦力が増した。野党議員の追及によって「桜を見る会」問題をはじめとする安倍政権への疑惑がより明確になるとともに、新型コロナウイルス感染症への対応では、政府に一定の協力を行いつつ、野党側から積極的に多くの対策を提案し実現させてきた。
これらに加え、大学入学共通テストの民間委託や検察庁法改悪を阻止するなど、与野党の議席差を感じさせない「成果」を国会内で上げていることにも、ぜひ目を向けていただきたいと思う。
この間、私は、立憲民主党や私自身が訴えてきた「自民党政権にかわる新しい社会のかたち」が、有権者の皆さんになかなかうまく伝わらないもどかしさを感じてきた。
二〇一七年の衆院選で、私は「右でも左でもなく、前へ!」と訴えた。それ以前からも一貫して、自身の立場について「『保守』であり『リベラル』」だと説明してきた。これらの言葉は、有権者の皆さんから強い共感の声をいただく一方で、「何を言っているか分からない」との批判も少なからず受けた。
日本では、五五年体制当時から、与野党の対立を「右」「左」で表現してきた。自民党を中心とする与党側が「右」、社会党を中心とする野党側が「左」。五五年体制が崩壊した現在では、これがそのまま「保守」と「リベラル」という言葉に置き換えられている。つまり、日本の政治に関する言論環境の中では、「保守」と「リベラル」は対立概念とされてきた。
私は、その「常識」に異を唱えるべく、あえてこうした言葉遣いをしているのだが、そうした私の立場に違和感を覚える人が、少なからずいることも理解できる。
-
『日暮れのあと』小池真理子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2023/05/26~2023/06/02 賞品 『日暮れのあと』小池真理子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。