今年1月に「ブラックボックス」で第166回芥川龍之介賞を受賞した砂川文次さんの『小隊』(文春文庫)が5月10日に発売されました。
『小隊』には、元自衛官という異色の経歴をもつ砂川さんによる、以下の戦争小説3篇が収められています。
・「小隊」(第164回芥川龍之介賞候補)
・「戦場のレビヤタン」(第160回芥川龍之介賞候補)
・「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞)
なかでも表題作の「小隊」では、“ロシアによる北海道侵攻”で、最前線の街となった釧路での地獄が描かれていおり、作中の軍事描写のリアルさは専門家を唸らせ、Twitterを中心にネット上で話題になりました。
また、連日我々が目の当たりにしているロシアのウクライナ侵攻を想起させ、読者に現実と小説の世界をシンクロさせる砂川さんの筆力は大きな反響を呼び、発売前から重版が決定しています。
■「小隊」(表題作)あらすじ
突如ロシアの侵攻が始まり、北海道が交戦地帯となる。第27戦闘団第1中隊に属する安達は、幹部自衛官として小隊を率いる立場にあった。それまでに経験したことのない緊張感の中、一方で連絡が取れない恋人のことをくよくよ考える安達。だが、そんな彼の個人的な事情などおかまいなしにロシアとの戦闘が始まってしまう。しだいに悲惨な戦場に巻き込まれる安達だが、やがて彼が率いる小隊が行きついたのは……。
ほかに、海外を舞台にした「戦場のレビヤタン」、訓練中の自衛官が東京・吉祥寺での戦闘を幻視する「市街戦」の2篇を収録。
■砂川文次さんからのコメント
「小隊」を書いている時、私はある言葉だけは
絶対に使わないようにしようと決めていました。
その言葉は、それ自体が持つ重みに反して、
使えば使うほどに失われてしまう何かがある気がするのです。
その何かを、お読みいただくみなさまに感じていただければ幸いです。
■著者紹介
砂川文次(すなかわ・ぶんじ)
1990年大阪府出身。陸上自衛官であった時に書いた「市街戦」で、2016年に第121回文学界新人賞を受賞し作家デビュー。「戦場のレビヤタン」が第160回芥川龍之介賞候補作、「小隊」が第164回芥川龍之介賞候補作となり、今年1月、「ブラックボックス」で第166回芥川龍之介賞を受賞。
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