本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
「わたしはアンチ寄りのファン」「適当でチャラいおじさん」作家・柚木麻子が描き出す“菊池寛のイメージ”とは?

「わたしはアンチ寄りのファン」「適当でチャラいおじさん」作家・柚木麻子が描き出す“菊池寛のイメージ”とは?

「週刊文春」編集部

著者は語る 『ついでにジェントルメン』(柚木麻子 著)

出典 : #文春オンライン
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『ついでにジェントルメン』(柚木麻子 著)文藝春秋

 新人賞を受賞したものの、その後、一向に新作が雑誌に掲載されない新人作家の原嶋覚子(はらじまさめこ)。編集者に冷たくあしらわれ、意気消沈していた彼女に話しかけてきたのは、文藝春秋1階の「サロン」に鎮座する菊池寛の銅像だった!

 自身初の独立短編集『ついでにジェントルメン』の冒頭を飾る「Come Come Kan!!」には著者の柚木麻子さん自身の経験が色濃く反映されている。

「私もオール讀物新人賞でデビューしたあと、新作を書き直しても書き直しても雑誌に掲載されなかったんです。『この賞はデビューするよりも本を出すほうが大変』って編集者に言われたんですけど、なに、そのひっかけ問題……って思いながら打ち合わせのために文藝春秋に通っていました。そんなとき、サロンに置かれている銅像と、ふと目が合ったんです。『このおじさんがオール讀物をつくったんだよな。よし勉強だ!』と菊池寛について調べてみたら、思っていたよりずっと適当でチャラいおじさんでした」

 作中で銅像の菊池寛は「僕のことは寛って呼んでいいからさ!」と覚子に話しかけ、スマホを羨ましがり、近くで打ち合わせをしていた作家に話しかけて友達になれ、とけしかける。その姿はとても現代的で軽やかだが、「本当にこんな人だったんじゃないか」と思わせる。

「高松にある菊池寛記念館が凄く面白かったんです。彼はとにかく遊びを思いつく天才で、惜しみなくアイデアをシェアしていたから人気者だった。菊池寛が始めた文春文士劇では、赤塚不二夫や吉屋信子を舞台に立たせてるんですよ! 記念館に行かなかったら、ここまで彼に興味を持たなかったかもしれません」

 その菊池寛のイメージは収録作「アパート一階はカフェー」でも共通している。男子禁制だった大塚女子アパートメントに作られた喫茶店になぜか菊池寛が出資していた、という史実をもとに書かれた作品だ。

「わたしは菊池寛のアンチ寄りのファンで、したことの全部が全部いいとは思わないんですけど、彼は当時のフェミニストたちにお金やらチャンスやらを与えて、そのあとは関わらなかったらしいんです。彼にとって女の人を助けることに大きな意味はなかったんだと感じて、そこはいいな、と思いました」

単行本
ついでにジェントルメン
柚木麻子

定価:1,540円(税込)発売日:2022年04月08日

電子書籍
ついでにジェントルメン
柚木麻子

発売日:2022年04月08日

プレゼント
  • 『熱源』川越宗一・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2022/7/6~2022/7/13
    賞品 『熱源』川越宗一・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る