自らも内科医としてコロナ診療の現場を目の当たりにしている知念実希人さんの新作が反響を呼んでいます。
この2年半に何が起きていたのか? 小説の感動、コロナウイルスとの戦いへの思い、医療従事者のみなさんへの感謝……書店員のみなさんより、呼び起こされた感情が溢れる感想をたくさんいただきました。
堀脇真弓さん(ブックファーストエビスタ西宮店)
知念さんならではの医療現場の臨場感が凄い。読んでいるうちにフィクションなのかノンフィクションなのか境目がわからなくなってくる。
特に病棟内のクラスター発生、マスコミの無責任なインタビュー場面に熱いものが込み上げてきた。
昨年夏、私の友人も1人亡くなった。
少し気が緩みがちな今、この本を読んでひとりひとりがコロナと戦う気構えを今一度共有できたらと思う。
和田章子さん(水嶋書房くずはモール店)
読み始めて気づいたことがあります。2020年に起こった未曽有の出来事の記憶がところどころ朧げになっていること。
後世からみたら当事者ど真ん中の自分がたかが2年半でこの状態。ノンフィクションでなく、小説で知念先生が書いてくださったことで改めていろいろよみがえり、医療現場の方々の本当のご苦労や心情を知ることができました。
実際におられるであろう梓、瑠璃子、長峰先生の存在に心から感謝しました。人は正しさではなく、誰が言ったかで判断するという堀江貴文さんの言葉をきいて、知念先生だからこそ、より多くの人に届けられる、より多くの人にコロナについて考えていただける、そんな思いがふつふつと湧き上がってきました。
渡邊裕子さん(喜久屋書店小樽店)
家族や環境、立場、責任、その中でたくさんの決断をくだし、未知のウイルスと戦いつづける。医療従事者の方々に感謝の気持ちで一杯になりました。
山本智子さん(文真堂書店ビバモール本庄店)
ただただ医療従事者の方々に頭が下がる。この作品はコロナという正体不明のウイルスを前に戦った医療現場を知る為にも後世へ伝えなければならない作品だと思う。
この作品を読む事でウイルスの意味、変異株が生まれる仕組みを詳しく知り、勉強になりました。
ウイルスvs人間。最前線で戦い続けてくれる医療従事者の方々、ありがとうございます。ただただ感謝あるのみ!!
山本机久美さん(柳正堂書店甲府昭和イトーヨーカドー店)
読みながら鳥肌と涙が止まらなかった。老若男女、今を生きるすべての人たちに読んでほしい。
未知のウイルスの恐怖におびえ、私たちの日常は一変してしまった。医療現場では何が起こっていたのか。そこには私たち一市民の想像を絶するほどの闘いがあった。医師、看護師、それに関わるすべての医療関係者の方々に心からの感謝とエールを贈りたい。
今作は人類の記録書としてきっと永年残り続けるだろう。私たちにできること、一人一人が思いやってこれからの未来を精一杯生きていきたいと強く思った。知念先生、ありがとう!!
水野和博さん(文教堂西葛西店)
私も、私の家族も親しい人もまだコロナには感染していません。もちろん感染した人は知っているし、大変だったという事も知ってはいますが、身近に感じる機会がありませんでした(幸せなことに)。だから「医療従事者に感謝を」というのが正直ピンと来ていませんでした。
この作品ではじめて医療従事者の思いを知り、その立場になって考え、コロナと向き合わなければいけない恐怖を知ることが出来ました。今までで最も重厚感・読み応えのある作品でした。
瀬利典子さん(明文堂書店金沢野々市店)
終りのない闘い。変わる死生観。日常のありがたさを普通という言葉の安心さを感じずにはいられない程、世の中は混乱した。たとえ立ち止まることがあっても、前を向くことを忘れなければ何かが変わるかもしれない。
迫彩子さん(蔦屋書店熊本三年坂)
どんな物語も現実に勝るものはない、たった二年ほどの期間にどれほど多くの変化を強いられ、日常を失ってしまったのか、何も思うことのない人は誰一人いないはずです。しかし、この作品を読んで医療の現場で起きていたことにふれ、内容の重みに打たれ本当に現実こそが全てだと思い知らされました。
「医療従事者への感謝」という言葉は悪いものではないと分かっていますが、自らの人生をかけて、看護師や医師であり続ける使命を選択した硲や椎名、長峰をはじめ沢山の人々に私たちは感謝だけでなく、自分には関係ない世界ではなく、今生きている現実として「自分にできること」を日々続けていくことが求められているのだと感じました。
何を書いても、前線にいない者の感想でしかありませんが、特に大切な人を亡くされた人や、今も闘い苦しんでいる人がこの作品をどう受けとめられるのか想像もできません。この作品は、この時代を象徴するものになると、そう思いました。
熊谷由佳さん(丸善ヒルズウォーク徳重店)
個人的にとても共感したのは、開業医の長峰医師の地方医療を支える使命感でした。どんな仕事にも立ち位置にも「役割」というものがあり、命がけでそれを全うしようとする姿に心打たれました。誰かによって自分は生かされている。そのことを考えさせられた作品でした。
今井美樹さん(くまざわ書店新潟亀田店)
医療従事者のこの2年間はわかっている様でわかっていなかったんだと思い知らされた。一帆くんが息子と同じ年齢設定というのも母親としての面で梓に感情移入してしまったところもあった。
ただ、様々な面において、このコロナという未知なものに振り回され、確かに失ったものや、こんな未来でなかったということも多々あり、どうしてもマイナスなことが目立ってしまうけれど、これによって進化したもの、得たもの、改めて気付かされた感情もあるということを思い出させてくれる一冊であると思った。
この2年間のリアルが凝縮された一冊。もう一度ゆっくりかみしめて読み直したい。
宗岡敦子さん(紀伊國屋書店福岡本店)
コロナ禍で戦い続ける医療従事者たちの苦しみや辛さが、私の心にもどんどん流れてくるようで、途中何度も涙してしまいました。人の命だけでなく心も蝕む新型コロナ。マスクを着けずに当たり前のように生活していた日々が、遠い昔のように感じます。
ですが作品を拝読し、コロナの時代だからこそ人として大切にしなければいけないものとは何か。加えていかなければならないものは何なのか。読後、深く問われるようでした。この物語は生きていくための、私達一人一人の問題であり課題です。
ラストで見た景色が胸に熱く刻まれると共に、未来をあきらめない勇気をいただきました。私にとって希望の光のような物語です。
高橋由美子さん(フタバ図書TSUTAYA GIGA祇園店)
コロナと医療従事者たちとの戦いの物語ではあるが、ドキュメンタリータッチで描かれており、私たちの記憶に刻み込むだけではなく、後世にも残すのに重要な作品だと思った。次なる戦いのためにも…。
医療従事者への感謝の気持ちは抱いていたつもりだったが、自分の思いはいかに浅はかだったかと実感したのだった。現役医師である先生ならではの臨場感あふれる描写。医療用語が数多く飛び交うが、決して難解ではなく、読んでいくうちに素人の私たちにもインプットされていく。コロナの感染力に追従するかのようなスピード感のあるストーリー、きめ細やかな登場人物の感情表現にどんどん引き込まれていった。“機械仕掛けの太陽”このタイトルに込められた先生の思いをぜひ感じとっていただけたらと思う。
新藤幸代さん(宮沢書店 TSUTAYA館山店)
今回の本はまるで日本中の人、とくに政府、国へのコロナの報告書を読んでいるようで苦しくなりました。一体、何人の医療関係者の方々が心を折られてしまったんだろうと…。幸い、当店は閉店することもなくむしろ家にこもることになった子供達にとドリルを買い求める人、本を買う人であふれていました。
しかし、医療、介護、食料品を扱う人達には色々あっても本はその対象にはならず、おびえながらレジをやったり品出しをしたりの日々でした。この本を読んで色々な立場の人が苦しんでがんばっている事を考えてくれたらと思います。
郡司めぐみさん(ジュンク堂書店郡山店)
国民必読! この2年間日本で起きていたこと、医療現場の真実を全ての人が知らなくてはいけない。こんなにも必死に命をかけてコロナに立ち向かっていた多くの人たちのことをどれだけ分かっていたでしょうか。
あまりにも壮絶な状況の中、みんなで助け合い困難を乗り越えていく姿に何度も涙が溢れました。ニュースで知らされる感染者数ばかり気にして、最前線で戦う現場の方たちに目をむけていなかった自分がとても恥ずかしいです。
いわれのないバッシング、ボーナスも減らされ人員も限られていく中、高い志だけで力を尽くしてくれた医療従事者の方たちに感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。
山田純子さん(喜久屋書店イオンモール大和郡山店)
今、読む事が出来て本当に良かった。新型コロナが言われるようになってもうすぐ3年。コロナ禍にも慣れ、気が緩みだし、感染がとまらない今だからこそ読むべき本だと思う。医療従事者の方は命がけでウイルスと戦ってくれている。今一度、医療従事者の方達に感謝して、気を引き締めて感染対策を徹底しようと思う。この本はぜひ多くの人に読んでもらいたいです!!
吉田彩乃さん(岩瀬書店富久山店フラスゲオ)
誰もが想像しなかった事態の真っ只中で常に戦い続けることは想像をはるかに越えてました。あまりにもリアルで苦しく、終わりは一息つける時はあるのか、ハラハラしながら読みました。けれど苦しいばかりではなく、そこからまた新しく進むべき道が見つかることもあるんだと教えられました。今もまだどこかで戦っている人がたくさんいるけれど、明るい光に向かってみんな進んでいるんだと信じたくなりました。
森川由香さん(未来屋書店ボンベルタ成田店)
小説であって小説でない。そう思わせる展開とストーリー。未だ先の見えないコロナ禍。コロナ禍になってもう2年以上。毎日見たり聞いたりするニュースや情報から、そうだったこんな風だった、と思い出しながら、ああ……波がくる度に医療従事者の方々はこんな戦いをしていたのかと、改めて心を打たれた。
確かにこれは戦場だ。医療従事者の方は、魔法使いでもスーパーマンでもない、同じ人間なのだ。恐怖や孤独を感じ、ストレスも抱え、悩み葛藤する。それでも決断し、戦場といわれる現場で奮闘する。本当に本当に大変なところであるし、ただただ感謝しかない。読んでいて温かい家族や周りの人たちとの関わりに、何度も目頭が熱くなった。ひとりじゃない。誰かがいてくれる、手を差し伸べてくれる、そんな人が周りにいる。それが、どれだけ力になり、幸せだと思えることなのか、ひしひしと感じた。
※本作品の印税の一部は、新型コロナウイルスなどの感染症拡大防止への対応のため、日本赤十字社に寄付されます。