私は兵庫県で在日3世として生まれ「自分は何者なのか」とずいぶん模索しました。高校で全校生徒の前で出自を説明したり、日本国籍に帰化すると親が決めた時には家出したことも。デビュー直後は監督からの「在日のイメージだけが先行するから、今は公にはしない方が良い」という決定で出自を話せないこともありましたが、それくらい私にとって「在日」は自分の中心にあることでした。
在日の歴史をアメリカ作家のミン・ジン・リーさんが描いた「パチンコ」を読んだ時、物事を俯瞰で見る乾いた表現に衝撃を受けました。オーディションで役を得て、撮影のために滞在したカナダでは、文化や人種が違うことが当たり前。「在日」もただの「韓国系日本人」で、日韓の違いも「在日」という存在も説明しなければわかってもらえない。自分は何者なのか、自分の言葉で語ることの大事さを知りました。
在日韓国人の物語である「パチンコ」は、本来は日韓合作で作られるべきだったのではないか、という複雑な思いもありますが、結果的に米国からこの作品が生まれたことが、日本で良い流れを生むきっかけになればと願っています。
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