15歳の時に『探偵はぼっちじゃない』で、万城目学さんらを輩出したボイルドエッグズ新人賞を受賞した坪田侑也さん。中学生らしからぬ細やかな人物造形と堂々たる仕掛けが、当時も大きな話題を呼びました。
それから5年の歳月を経て、慶応義塾大学医学部3年生となった著者待望の新作が『八秒で跳べ』です。瑞々しい筆致溢れる青春部活小説に、全国の書店員さんから熱い注目が注がれています!
ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
高校時代の嬉しかったり、輝いてみえるあの時より、今心を震わせて、鮮明に思い出すことは、悔しかったり、辛かったり、悲しかったことだ。でもあの時悩ませた感情とは違う、何か懐かしくて、そういう苦しみを味わったことも良かったのではないかと思える。この作品を読んでそういう気持ちが甦ってきた。
仲間でもあり、ライバルでもある。そういう存在って貴重だ。ライバルだけど、調子が悪かったら、気になって、お互いベストの状態でポジションを争いたいと思う。あの時の自分を越えたい、そうもがき続けて、どうしようもなさに自分自身に腹が立つ気持ち。何かちょっとした一言、ちょっとしたきっかけで、自分が動きだす。あの時苦しかったことは、あなたにとって大切なものだったんだと言いたい。あの頃の自分があったから、今の自分がある。青春とは挫折しながら、歩いていくものだ。青春の真実をとらえた作品に胸が熱くなった。
宮脇書店境港店 林雅子さん
皆と同じ熱量じゃなきゃダメ! って言う人いますよね。
人それぞれだからいいじゃない?と思う。
でも怪我をきっかけに自分見直せて、成長に繋がっていく。
これぞアオハルだ‼ と思いつつ読ませていただきました。
大盛堂書店 山本亮さん
大事なのは過ごした時間の長さじゃない。
一瞬でも一緒にどれだけ懸命に打ち込めたかという記憶だ。その時間を少しでも共有していれば、誰かの想いが覚悟が必ず自分に跳ね返ってくる。そして渡されたボールをどう打ち返すのか。
主人公たちの理屈じゃない行動がとても瑞々しい作品だった。
ブックスオオトリ四つ木店 吉田知宏さん
「現代」の高校生のリアルな日常、緊張感と躍動感にあふれるバレーボールの試合場面。それらを繊細に描く筆力に感嘆しました。
作品の根底に流れていたのはどの世代の読者にも共感を呼ぶ、普遍的な「あの頃」の葛藤。私も10代の自分を振り返りながら読みました。
心の中でくすぶる埋火のような何か。それが様々な人、言葉、感情との出会いをきっかけとして、やがて眩い炎となっていく。見事に描きだされたその過程には、胸のすくような快さがありました。
これは令和の青春小説における一つの金字塔になるかもしれない。そう思わされた作品です。
未来屋書店有松店 富田晴子さん
クールで冷めた態度の奥底には、その実熱い血が通っている。
大事なものから、好きから逃げるな。真っ向から勝負だ!
青春のゆらぎやきしみ、葛藤、そして切ないほどの瑞々しさ。ぎこちなくも甘く、伸びやかな予兆。小さな思いをひとつひとつ丁寧に掬いあげた、等身大で、再校にリアルな青春小説。
いっぱい悩んで、いっぱい成長する、青春の只中にいるあなたに手渡したい、エールのような一冊。
文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん
八秒! 最高!!
八秒って何!? って思った方、ラストまで是非読んでください!
部活動に熱中していた頃を思い出しました。
景の纏う空気感がとても伝わってきて。
そして理解できました。
がむしゃらにならなくてもある程度できてしまうスポーツセンス。
北村との関係。そこに絡まってくる真島の漫画への取り組み方。深海の意味。
人がワンランクアップするときってこういうときなんだよなぁと眩しかったです!
青春ってやっぱりイイ!!
アマノ布橋店 山本明広さん
こういう「青春どまんなか」な小説を読むと「ああもうこの頃には戻れないんだな」と思うようになった。
だから、この頃にこういう物語を読んで、こんな考え方もあるんだ、自分もこんな封になれるかな、今からやってみようって思えたらきっとすてきな未来が待っているんだろうな、うらやましいなと思った。この年代で「(僕・私には)これがある」っておもって取り組める事があるっていいなと思うし、なんとなくやっていることが自分にとってどんな存在なのか考えるってことは大事なことだと思う。
形に残る成果だけでなく、自分がどれだけ取り組んでこられたか、それを語れるだけのものがあるっていいな。
明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん
何かに没頭し過ぎ去ってしまう青春期に湧き上がる感情を丁寧に丁寧に拾い上げる。
自覚のないまま湧き上がっていた感情に立ち止まることによって気づき受け止められる姿は純粋でうらやましくさえ感じてしまう。
初心の熱量から挫折・諦め・嫉妬までさまざまに体験し得るものが貴重であり成長の糧であるということを証明しているかのよう。
微かな苦みと共に懐かしさまで想起させる、バレーボールというスポーツを通した青春記。
坪田 侑也(つぼた・ゆうや)
2002年、東京生まれ。2018年、15歳の時に書いた『探偵はぼっちじゃない』で、第21回ボイルドエッグズ新人賞を当時史上最年少で受賞、翌年KADOKAWAより出版された。中学、高校時代はバレー部に所属。現在は慶應義塾大学医学部3年生。
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