
- 2025.05.12
- 特集
編集長が語る【オールの讀みどころ】 2025年5・6月号は特集「本屋さんへ行こう!」&第2回大人の推理小説大賞発表
文:「オール讀物」編集部
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
,#歴史・時代小説
「本の話」を読んでくださっているみなさん、ご愛読ありがとうございます! 「オール讀物」編集長の石井です。
5人の精鋭でつくっているオールの裏話、日常のよしなしごとについては、note不定期連載の編集部だより「オールの小部屋から」で発信しておりますので、チェックしてみてください! 定期購読者向けにニューズレターもお送りしております。こちらもぜひ、定期購読をお申し込みの上、お楽しみいただけたら幸いです。
この「本の話」の隔月連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、渾身の企画を紹介していきます。「オール讀物」5・6月号の目玉は、特集「本屋さんへ行こう!」と「大人の推理小説大賞」発表です。

春は出会いと別れの季節。4月から新たな場所で生活をスタートした方もいらっしゃるのではないでしょうか。環境が変わると、「近所に本屋さんないかな?」とつい探してしまうのが「本好きあるある」です。通勤通学の途中、散歩のついでに、新しい書店を見つけてみませんか、という思いを込めて「本屋さんへ行こう!」特集を企画しました。
一穂ミチさんと凪良ゆうさんに“書店を舞台にした短編”をご寄稿いただいたのですが、おふたりそれぞれ、書店の描きかたがまったく異なることに驚かされます。一穂さんの「歌うように生きて」で、書店はデートの待ち合わせ場所として登場します。凪良さんの「小鳥たち」では、主人公の実家が本屋さんなのですね。私たちの日々の暮らしと書店との関係性がなんと多種多様であることか。この2作、多くの方に読んでいただきたいです。
もうひとつ、リアル書店さんと一緒にやれる企画を、と思い、伊坂幸太郎さんとオール編集部とで「POP対決」を実施しました。伊坂さんと編集担当者が仙台の書店員さんから「POPの書き方」を習い、それぞれが考案したPOPを売り場に掲示して本の売り上げを競うガチンコ企画です。対決の舞台をご提供いただいたのは、あゆみBOOKS仙台一番町店、ヤマト屋書店仙台三越店、紀伊國屋書店新宿本店、紀伊國屋書店横浜店、三省堂書店有楽町店の5書店。POPを作らせてもらったのは、伊坂さんおすすめの下記の4銘柄です(ご協力ありがとうございました)。
『妻は忘れない』矢樹純(新潮文庫)
『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央(文春文庫)
『御社のチャラ男』絲山秋子(講談社文庫)
『三の隣は五号室』長嶋有(中公文庫)
果たして対決の行方やいかに! 伊坂さんのPOP制作(工作)の様子をとらえたグラビア写真も必見です。

今号では、第2回となる「大人の推理小説大賞」を発表していますが、こちらも全国の書店員さんとタッグを組んで実現した賞です。選考にあたってくださったのは、宇田川拓也さん(ときわ書房本店)、三島政幸さん(啓文社岡山本店)、星真一さん(紀伊國屋書店新宿本店)。日本最強のミステリー読みである3名が、「大人の推理小説」の定義をめぐって侃々諤々の議論を闘わせた結果、永嶋恵美さん『檜垣澤家の炎上』(新潮文庫)が栄冠に輝きました。受賞作はもちろん、候補作いずれも面白いので、ぜひ誌面をチェックの上、書店でお求めいただけたらと思います。

このお三方には、書店企画の一環として、座談会「“街の本屋”はこう考える」もお願いしました。書店の店頭でおこなわれている企画の数々に驚かされると同時に、「日々、変わらずにあり続ける」「当たり前のことを粛々とやっていく」という宇田川さんの言葉には、思わず居住まいを正したくなりました。
賞の発表号恒例となった「大人の推理小説饗宴」も豪華ラインナップです。オール讀物2024年11・12月号「新楢山考」につづく短編第2弾となる和田秀樹さん「財務省特命課長・山口洋太郎」は、さまざまな統計の数字を駆使して極秘プロジェクトを遂行する財務官僚を描きます。誉田哲也さんの警視庁公安部シリーズ110枚、矢樹純さん、降田天さんの警察新シリーズ読切も必読! セレブ担当刑事を描く堂場瞬一さんの新連載「死と金」、政治とポピュリズムの問題に切り込む真山仁さん「オペラティオ」、闇バイトをテーマにした石田衣良さんのIWGP、カスタマーハラスメントと企業の炎上を描いた水生大海さんの社労士ヒナコ新作、いずれも「いま」を浮き彫りにする大人のエンタメばかりです。

現代小説読切には珠玉の3編がそろいました。原田ひ香さん「冷凍庫冷蔵庫合わせて五台」はこれまで見たことのない世界を描いていて、一読、瞠目すること間違いありません。吉川トリコさん「猫の下でおやすみなさい」、伊与原新さん「宙わたる教室」シーズン2「ギーク・チャイニーズ」とともにお楽しみください。
畠中恵さん「まんまこと」シリーズがオール讀物に登場してなんと20年! 新作「はこねより」とともに畠中さんの特別インタビューもお届けします。ほか、時代小説人気シリーズは、夢枕獏さん「黒い陰陽師」、坂井希久子さん「江戸彩り見立て帖」、川越宗一さん「満徳寺調べ帖」と豪華絢爛。砂原浩太朗さん「藩邸差配役日日控」と、村木嵐さん「畸人・大田南畝」はついに最終回を迎えます。あさのあつこさんの人気連載「八州の風手控え帳」は八州廻りが江戸に戻っていよいよクライマックスです。
読み物企画も最高に面白いです。髙見澤俊彦さんと神田明神・岸川雅範さんがタッグを組む神道入門「神様について語ろう」は、神田明神のお花見や、上野東照宮の禰宜さんがTHE ALFEEのチケットの落とし物を拾って持ち主に戻してくれたエピソードを入り口に、神仏習合の歴史と文化に迫っていくという神展開!
特殊詐欺が連日ニュースになる昨今、元警視庁科学捜査官・服藤恵三さんはコラム「科学捜査官の目」で犯罪捜査における画像解析を解説。危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスさん「無法者(アウトロー)たちの晩餐」は、中米エルサルバドルの刑務所を取材します。「首切りサッカー事件」など、エピソードの強烈さは随一です。

単行本にして5冊分。質量ともに充実の「オール讀物」5・6月号をどうぞよろしくお願いいたします! この機会に、さまざまな特典のある定期購読もぜひご検討ください。

「オール讀物公式X(旧Twitter)」ではイベント情報など最新情報を発信しています。
ぜひフォローしてください!
-
『いとしきもの』小川糸・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2025/05/08~2025/05/15 賞品 『いとしきもの』小川糸・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。