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『おんなの窓 5』の帯を見て気がついた。確かに“仕上がってきている”私……。

『おんなの窓 5』の帯を見て気がついた。確かに“仕上がってきている”私……。

「本の話」編集部

『おんなの窓 5』 (伊藤理佐 著)


ジャンル : #随筆・エッセイ

――5巻で、気に入っている1コマは?

伊藤 事実としてショックだったのは、「ハートが古い」(7ページ収録)ですかね。描いたハートマークだけじゃなく、自分のハートも古いんじゃない?っていう掛け言葉にもなってます(苦笑)。……ほんと怖い(笑)。中年力ってすごいですよね。白髪が出てくると老眼が始まって白髪も見えなくなってくるでしょ。段々目が見えにくくなってくるし、いろいろ忘れちゃうから、自分のことも人のことも前より許せるようになって、いいこともあるけど。

――うまくできてますね、中年メカニズム。

伊藤 中年と言えば、この春に娘が卒園するので、園の卒業アルバム委員会のお母さんたちが、入園からの写真を集めてくれているんです。それで、ここ3年の写真を見ていたら、明らかに私が年々太ってるんですって。で、ママ友に「吉田さん(注:伊藤さんの本名)は確かに太ってる。けど、太ってる今のほうがキャラが立ってるよね! こっちのほうがいいよね! ってみんなで話してたんだよ~」って言われて(笑)。……たった3年前ですよ。ショートカットで痩せてた時より、パーマかけた髪の毛をひとつにしばって、太ってるほうがなんかしっくりきてて、こっちのがいいよ~ってズバリ言われて。もちろん、私はズベッとなったけど、その時、「あ!」って思い出したんです。今回、5巻の帯に「見事な中年に仕上がってきたイトウ…」って書いてあったことを。(注:帯ネームは担当編集者が書きます)。ちゃんと痩せててきれいな大勢のママさんたちの中で私のキャラが立っている、これって「仕上がってきている」ということなんだって。きれいに重なったんですよ!

――おお、なんだかすいません…。ほら同年代だから私も一緒ってことで。

伊藤 こういうことを「仕上がってきている」って言うんだなって、人に言われて気づくぜ、みたいな(笑)。帯、大事ですね。自分の「帯」を考えてもらうと、今の自分がわかります。みんなも迷ったら帯を考えてみるといいかも(笑)。

――5巻に「昔、早見優と松本伊代の区別がつかない大人がとても不思議だった…」と描かれてます(44ページ)。私も子供の頃はそう思ってましたし、そんな大人に絶対ならないって思ってましたけど、実際、結構そんな大人になってますよね。

伊藤 そんな大人にならない、って言うか、なれない、って思ってました。しかも、今そんな大人になっていても、それをはずかしいとも思ってないんですよね。う~む、こういうことなのかな、中年て。

――『おんなの窓』シリーズは、伊藤さんの半生のドキュメンタリーなので、年齢に伴う伊藤さんの変化も手に取るように伝わってきますね。年上の方や同年代にとっては身にしみる「あるある」ですし、若い読者さんにとっては「未来予想図」っていうか。本当のことってやっぱり面白いです。では、最後に読者さんへ一言お願いします。

伊藤 「週刊文春」で読んでくれている人はわかると思いますが、この非常に面積の少ないマンガをお楽しみください! 初心を忘れず……、自分が「ちんこ」だったということを忘れずに、これからも小さい窓からいろいろ覗いていきたいと思ってます!

単行本
おんなの窓 5
伊藤理佐

定価:1,045円(税込)発売日:2016年01月28日

文春文庫
おんなの窓
そうなの独身、まさかの結婚篇
伊藤理佐

定価:737円(税込)発売日:2016年02月10日

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