インタビューほか

小学生が読む『魔法使いと刑事たちの夏』
驚異の年の差対談!

「本の話」編集部

『魔法使いと刑事たちの夏』 (東川篤哉 著)

ゼロ年代生まれ 本の読み方、選び方のリアル

『魔法使いと刑事たちの夏』 (東川篤哉 著)

東川 キリカさんはどうやって読む本を選んでいるんですか? 

キリカ 大体、表紙と題名を見て決めてます。

東川 大人と違って、作家の名前はそんなに大事じゃないんですね。

キリカ まず「面白そう!」と思って手にとって、それから作家名に注目する感じかな。知らない作家さんでも興味があったら読むし、知っている作家さんだったら「こんなの書いてたんだ!」と読むし。

東川 小学4年生って、ほかにはどんな本を読んでるんでしょうか。

キリカ 東川先生の本は、クラスでも人気ありますよ。やっぱり「謎ディ」が好きな人が多いかな。

東川 ありがたいことですね。

キリカ あとは誰が好きというより、映画化されたとか、有名な本を読んでる人が多いけど……他に人気があるのは星新一。学校の図書室には星新一の作品がいっぱい並んでいて、みんな借りてますね。

東川 星新一! やっぱり強いですね。図書室にもよく行きますか?

キリカ うーん、図書室は子ども向けにつくってあるから、あんまり面白くなくて。図書室の本で唯一読むのが、星新一なんです。

東川 江戸川乱歩とかは読まないんですか? ルパンとか、ホームズとか。

キリカ そのあたりはクラスでも全然人気がない。

東川 それは……危機的状況ですね。本格ミステリーの未来に暗雲が立ちこめましたよ、今。

キリカ 学校では先生が読み聞かせてくれることもあるんだけど、先生が選ぶのって大抵みんなが分かる本だから、自分で好きな本を読んだほうが楽しい。

東川 小学生って、読書のレベルがバラバラですからね。大人が読むような本を読む子もいれば、絵本を読む子も……。

キリカ うちのクラスでは、大人の本を読んでない人はバカにされちゃうけど(笑)。だからみんな、背伸びして子ども向けじゃない本を読んでます。

東川 それは、嬉しい傾向です。キリカさんにはジャンルのこだわりはあるんですか?

キリカ ミステリーが好きっていうのはあるけど、ジャンルを決めて読んでるわけではないかな。今はとにかくいろんな本をいっぱい読んで、好きな本を探したい。

東川 ちなみに、今読んでいる本は?

キリカ 最近は星新一ブームが来てるから、全部読みたいと思っています。

東川 星新一の、どんなところが好きなんですか?

キリカ いろんな面白さを備えてるから。不思議さが魅力の作品もあるし、星新一の考え方が伝わってくるものもあるし。何作読んでも飽きないです。

東川 星新一といえば、SFの入り口ですよね。将来、SF評論をされている姿が目に浮かぶようです。特に好きな作品はなんですか?

キリカ 何かなあ。たとえば「ボッコちゃん」とか、始まりも終わりもはっきりしない、ちゃんと説明をしていない作品にはすごく引きつけられる。

東川 すでにそこに魅力を感じているというのは凄いですね。本格ミステリーが全否定されたような気もしますが……。僕は説明がつかないと納得がいかないタイプなんですよ。

キリカ はっきりさせないほうが、逆にしっくりくるってこともありませんか? 考えさせられるっていうか。

東川 確かにそういう小説もありますね。本格ミステリーに限って言うと、謎が解かれたあとは考えさせちゃいけないと思うのですが。

キリカ でも、いろんな作品があって、その作品ごとに違う良さがあるんですよ。

東川 そうなんですよ! 10歳にしてそこが分かっていらっしゃるのはさすがです。「割り算の文学」という言葉は知っていますか? 土屋隆夫先生の言葉なのですが、割り切れて余りの無い話の面白さもある、という。

キリカ いろんな面白さがあるから、いろんな本を読もうと思うんですよね。ひとつのお話にぜんぶの面白さが詰まっていたら、そのお話しか読まなくていいでしょ? やっぱり本の良さは、いろんな良さがあることだから。

東川 達観したコメント……もはや太刀打ちできないですね。

キリカ ちょっと良い話になっちゃったかな? とにかく、東川先生は、自分の書きたいものをいっぱい書いてください。全部受け止めます!

魔法使いと刑事たちの夏
東川篤哉・著

定価:本体1,400円+税 発売日:2014年07月31日

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魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
東川篤哉・著

定価:本体1,400円+税 発売日:2012年09月28日

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