ところで――
『陰陽師』という物語の中で、度たび顔を出してくる蘆屋道満(あしやどうまん)という法師陰陽師の老人がいるのだが、その道満が、本書の中の『篁物語(たかむらものがたり)』の中に出てくる。
『陰陽師』に出てきた道満が、
「地獄の閻魔(えんま)はわが同朋(はらから)よ」
と言ったり、また他の登場人物や妖(あや)しのものたちが、
「やや、こやつはその昔、地獄を騒がせたあの憎(にっ)くき道満ぞ」
などと言ったりしているのは、実はこの『篁物語』をベースにしているのですね。
ついでに書いておけば『秘帖・源氏物語 翁(おきな)―OKINA』の中にも、道満は現われて、光の君と共に古代の神の謎をさぐったりしているのである。
ともあれ――
話をもどせば、ある意味では、本書は『陰陽師』の別巻的な要素もなくはない物語なのである。
たいへんに妖しく、哀切で、しかも美しい物語ばかりです。
どうぞ、お楽しみ下さい。
二〇一四年 夏 小田原にて
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