書評

エッチで、色っぽくて、ちょっと怖い話

文: 夢枕 獏

『おにのさうし』 (夢枕獏 著)

 ところで――

『陰陽師』という物語の中で、度たび顔を出してくる蘆屋道満(あしやどうまん)という法師陰陽師の老人がいるのだが、その道満が、本書の中の『篁物語(たかむらものがたり)』の中に出てくる。

『陰陽師』に出てきた道満が、

「地獄の閻魔(えんま)はわが同朋(はらから)よ」

 と言ったり、また他の登場人物や妖(あや)しのものたちが、

「やや、こやつはその昔、地獄を騒がせたあの憎(にっ)くき道満ぞ」

 などと言ったりしているのは、実はこの『篁物語』をベースにしているのですね。

 ついでに書いておけば『秘帖・源氏物語 翁(おきな)―OKINA』の中にも、道満は現われて、光の君と共に古代の神の謎をさぐったりしているのである。

 ともあれ――

 話をもどせば、ある意味では、本書は『陰陽師』の別巻的な要素もなくはない物語なのである。

 たいへんに妖しく、哀切で、しかも美しい物語ばかりです。

 どうぞ、お楽しみ下さい。

二〇一四年 夏 小田原にて

おにのさうし
夢枕獏・著

定価:本体610円+税 発売日:2014年10月10日

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