見せるな、隠すな、よりダサく
桜木 いちおう対談テーマは「どんなことに気を使って表現するか」と言われたのですが、私は「見せるな、隠すな、寸止め」(笑)でしょうか。ストリップ鑑賞が趣味なんですが、ある踊り子さんを育てた小屋主さんが「見せるな、隠すなだから大変だよな、踊り子も」っておっしゃっていて、ああ、そうだなあって。
見せるな、隠すなって相反するものですが、大成する踊り子はそれができるんだそうです。結局、パンツを脱がなくても客を引きつけられる表現力がある。その表現力を壇さんに感じたのが、バラエティ番組で各男性週刊誌の傾向に合わせたグラビアポーズを実演される姿を拝見したときでした。
壇 雑誌は読者に支えられていると思うので、そこの層を間違えたときがみんなにとって一番悲しいことが起きると思うんですね。じゃあ何がいちばん自分の仕事になるかといったら、読者を裏切らないこと、つまりその雑誌の中の約束は守るということだろうと。「見せるな、隠すな、寸止め」のように挙げるとしたら、やっぱり「よりダサく」。
桜木 ああ。
壇 ナウさはいらない、ダサくあれ。ダサくないと受け入れられない。古臭く。
桜木 古臭い、は私もさんざん言われています。デビュー前からお世話になっている担当者に「桜木さんの書くものはちょっと」って。やっぱり私もダサいんですよ。
壇 でも、ダサくないと優しくない気がして。
桜木 パチパチパチパチ(拍手)。
壇 「ナウさ」というのは「冷たさ」だという気がしますね。だってそれしか受け入れないわけですから、「私、これしか知らないから」「これしか認めないから」という視点で見られたときに価値がなかったら、それで終わりですからね。
桜木 それは流行りと廃れということですよね。だから、グラビアの表現も古典を守っていらっしゃる。
壇 そうですね。それを守ろうとさせてくれたのは、やっぱり出会ったスタッフの方々のおかげなので、私はラッキーだと思います。自分の性格とスタッフの方のやりたいことがたまたま一致していたから、報われるグラビアの撮られ方をしてきた。それはもう全部ラッキーとしか言いようのない出会い、別れだと思います。
桜木 おっしゃるとおりです。お互い、そういう出会いがあって、初めて流通していくお仕事なんですね。でも、グラビアを踏み台と考える若い女性も多いでしょ?
壇 それは夢を持つ、野心を持つという意味では当たり前だと思うし、20歳前後の方が考えることとしては真っ当だと思うんです。だけど、グラビアは踏み台でしかないなと思っている場合でも、人との出会いで人間は変われるものだというのは、壇蜜の存在で証明はできた気がします。
桜木 立派に証明してますよ。
壇 なんというか、判例になったらいいなと思っています。やっぱり裁判も判例がなければ、後世の人たちが報われないでしょうから。だからグラビアも判例ありきの世界だなって。
桜木 そうですね。それはまさしくオリジナルということですね。古典を守っていたらオリジナルになっていく。
壇 はい。
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