政宗から続いている出会いの不思議
大河ドラマの出会いの中で、もうひとつよく覚えているのが、『独眼竜政宗』での(渡辺)謙ちゃんの壮絶なイメージです。僕は父親役で政宗の少年時代の話が何話かあった後に、いよいよ十八歳で謙ちゃんが僕の目の前に初登場するシーンでした。
廊下を歩いて来る時の音、ドン、ドン、ドーンという響きが――もう八話まで進んでいる中で主人公として登場するわけだから、そのプレッシャーたるや大変なものだったと思います。ものすごい集中力と緊張とが、その足音のひとつひとつから響いてきて、「いやあー、これは来たなぁ」と。その印象は忘れられないですね。
その後も別の仕事でご一緒したし、今や息子さんの(渡辺)大ちゃん、娘さんの杏ちゃんともご一緒して、僕は少年少女時代も知っているだけに余計に感慨があります。この年齢まで、僕自身が元気でこの仕事をさせてもらえるのは、幸せなことです。
『三屋清左衛門』でも、大ちゃんは道場の師範代格の平松与五郎役で僕と共演します。ついこの間、一緒のシーンがあったばかりですが、お父さんより背も高くて見上げてしまいましたよ。「あの頃は、こうだったなあ」と思い返しながら、よく似ているんで、時々お父さんに見えたりもしてね(笑)。本当に何というご縁だろうと思うし、人の出会いというのはそこから何が生まれるか分からない。
撮影では毎日毎日、皆で色々なことを発見するのは感動ですし、久しぶりにお目にかかるスタッフの皆さまも大勢いて、わくわくしながらやっています。ぜひ、ご期待に沿えるものをお届けしたいと思います。
写真◎橋本篤
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