- 2012.03.21
- 書評
<『東大合格生のノートはかならず美しい』コラボ秘話>
ノートも本もITには負けない
文:森川卓也(コクヨS&T社長) ,文:太田あや(インタビュアー)
『東大合格生のノートはかならず美しい』(太田あや 著)
ジャンル :
#趣味・実用
──私は二百冊ものノートを集めて、東大生のノートにみられる共通点を探してきました。東大に合格する子と、そうでない子はどこがちがうのか。ノートで分析しようと思ったのです。まず、タイトルにもなりましたが、東大合格生のノートはかならず美しい、のです。美しい原因を探ってみると、さまざまなことが見えてきました。まず、始業式から終業式までテンションが落ちません。たいていの高校生は、四月か五月くらいまではきれいですが、そこから、テンションが落ちます。
さらに驚くのは、大学に合格してからも多くの学生が受験ノートを残していたことです。それだけノートへのこだわりがあったのでしょう。
もっと細かく調べてみると、(1)余白を十分にとる (2)インデックスを使う (3)必要ならばコピーを貼り付けるなど、とても工夫をしています。この技術をこれから受験する子供たちに伝えたいという思いで取材を続ける一方、授業がとりやすいノートが出来ないか、と考えました。
ノート作りのノウハウというソフトウェアの部分は単行本で伝えることができますが、出来るならハードウェアとして、ノウハウを実践しやすいノートそのものも子供たちに提供したいと思ったのです。
それで思い切ってコクヨさんを訪ねることにしたのです。実際、受験生はキャンパスノートを使っていることが多かったんですよ。
森川 単行本の見返しに、二百冊の東大生のノートの表紙が全部出ていますね。コクヨのノートが多くて、とてもうれしかったです。ご提案を受けて、すぐにチャレンジしようと現場の人間は考えてくれたようです。
で、実際に、うちの開発メンバーが、この本にも登場している東大生の方々にはじめてヒアリングをしたとき、コクヨのノートについて、かなり辛口なコメントをいただいたようですね(笑)。
「ノートといえばコクヨ」というプライドを持っていた、ノート作りのプロが、最大のユーザーだと思っていた受験生から直(じか)に批判をいただいたわけですから、相当ショックを受けたと思います。
ただ、結果的には、それがいい刺激となって奮起し、短期間にこの「ドット入り罫線ノート」という商品が生まれるに至ったわけです。ユーザーの意見を丹念に伺って、横のラインだけでなく縦のラインをきれいに揃えることが出来るノートが必要なのだ、ということがわかってきました。
企画を進める中で、「効率性」と「自由度」という東大生、いや全受験生が求めているノート像に気がついたと現場の人間から聞いています。求められているものがわかれば、それに迅速に対応できるだけのノウハウは蓄積されていると思います。
短期間で、新しい概念のノートが開発出来たのは、ユーザーの声を聞く、いやユーザーという抽象的な存在ではなく、個人の客、個客に訊くという姿勢が、この商品開発の前提にあったからだと思います。
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