- 2016.07.15
- インタビュー・対談
バカ田大学卒業生、みうらじゅん・久住昌之が語る「赤塚不二夫」とは何者か(後編)
「本の話」編集部
『赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学講義録なのだ!』 (みうらじゅん・茂木健一郎・養老孟司・泉麻人・久住昌之・会田誠・鴻上尚史・坂田明・三上寛・宇川直宏・喰始・浅葉克己・河口洋一郎・原島博 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
必死のトキワ荘世代とブレないガロ世代
みうら 俺らがデビューした頃の雑誌『ガロ』には、そんな主従関係はなかったし、ちょうど80年代はヘタウマ・ブームってのがあって何でも自由だったから、クスミは別の方向を模索することもなく、デビューの頃から全く変わってない。デビュー作の「夜行」って漫画は、渋いトレンチコートの男が弁当のおかずをどれから食うかってだけの話で(笑)。
久住 『孤独のグルメ』と同じじゃんね(笑)。
みうら 何もブレてない(笑)。
久住 でも、『孤独のグルメ』の取材は、自腹切ってチャレンジして行ってるからね、何も調べないで歩いて店を探して。
みうら うちの事務所の近所にある店にも「あの久住昌之先生の『孤独のグルメ』で紹介されました!」って書いてあるんだけどさ、世間はクスミのことをグルメの人だと間違えているよね。クスミは「孤独」かもしれないけど、決して「グルメ」じゃない(笑)。
久住 拡大解釈してるよね。
みうら 一応試しにその店に入ってみたんだけど、「まさしくそこです、お客さん! そこは久住昌之先生が座られた席です!」って言われたよ(笑)。あれを多分どの客にもやっているんだよね。それで、食べてる間もずーっと俺の横に立ってるんだよ。残したら怒られそうだし、ホント困ったよ(笑)。
久住 あはは。おしゃべりな店主なんだよね。
みうら まあとにかくクスミは、ほぼ同じことをやり続けているんだよね、35年間。俺もそうだけど(笑)。
久住 この前、小学校5年のときの文集が出てきて、夏休みに新潟に行った話を書いた原稿用紙10枚くらいの作文なんだけど、あったことをそのまま書いたら長くなっちゃったみたいな感じの文章で、今の原稿の書き方と同じだったんだよ。だから、デビューする前からワンパターンなんだよな(笑)。
みうら そうそう、俺ら小学校からワンパターン(笑)。俺は小学生のときに、夏休みの宿題でクジラの頭の上に王冠がのってる絵を描いたんだ。そしたら職員室に呼ばれて、先生に「どこで見たの?」って聞かれたんで、「京都の水族館で見た」って言ったら、「クジラいないでしょ?」って(笑)。「しかも王冠なんてのってないでしょ?」って。家にまで電話がかかってきて、「息子さん、嘘つきだ」って。それ聞いて、うちのオカンが逆に学校まで怒りに行ったんだ。
久住 いいオカンだ。
みうら 「子どもがそう見えたって言うんだから、いいじゃないの!」、「あなたには想像力というものがないの?」って先生に怒ってね。俺、「週刊文春」で「人生エロエロ」の連載を始めたときも、オカンに叱られるんじゃないかなと思ってたんだけど、オカンから電話がかかってきて、「読んだんやけどな、おもろいな」って。うちのオカンは昔から俺に対して全肯定だから。オカンもブレてなかった、全然(笑)。
久住 うん、オカンが褒めてくれたら、「これでいいのだ!」だよね(笑)。
小さな頃からブレていないみうらじゅん少年(上)と久住少年(下左)のシェー!
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