震災を経て家族の絆を見直そうという風潮があるとか、その一方で独り身世帯や核家族が増えているらしいとか、たくさんの情報が飛び交って。
家族ってなんだろう。愛情やその在り方に正解はあるのか。
くるくる、くるくるといろんなことを考えながらこの作品が生まれました。
19歳の主人公・美緒、お茶目な源一郎お祖父ちゃん、優しいショーコお母さん、しっかり者の友広兄ちゃんに甘ったれの妹・桃子。それから三毛猫の龍之介。
これが愉快な山田家の家族です。
縁側に座ってスイカをかじり、庭先で線香花火を楽しむ彼らの姿を祈るような気持ちで書きました。
どうかいつまでもありふれた幸福な時間が続きますように。この家族に何も起こりませんように。
作者なのに、結末を知っているはずなのに、書いている間ずっとそんなふうに思っていました。
誰かの家族であるあなたに。大切な人のいるあなたに読んでもらえたら、と思います。家族小説として、ミステリーとして、ラストまで楽しんで頂ければ幸いです。
そして、願わくば、“最後まで読み終わった後にもう一度再読して下されば”この作品をもっと深く味わえるかもしれません。
山田家の周りで一体どんな事件が巻き起こるのか。エンディングで彼らに訪れる出来事とは。
夏が来ます。
山田家と一緒に賑やかな夏のひとときをお過ごし下されば、こんなに嬉しいことはありません。
柘榴の木がある庭の縁側でお目にかかりましょう。
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