インタビューほか

山下澄人×佐々木敦
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「本の話」編集部

『コルバトントリ』刊行記念イベントレポート

第150回芥川賞候補にもなった山下澄人さんの『コルバトントリ』。その刊行を記念し、デビュー当初からその作品を高く評価する批評家の佐々木敦さんをお招きしトーク&サイン会を催しました。インタビューの達人の技により、明らかになっていく山下さんのラジカルな芸術観を以下たっぷりとお楽しみください。

でもやはり感動してしまう

佐々木 しかし、ずっと今日は、山下さんの小説が、普通に小説と呼ばれているものと違っているところを強調してきましたけど、実際に読むと、普通に読めちゃうし、いわゆる難解な、あるいは実験的なといわれるような小説を読んでいるのとは全く違う印象を受けるわけですよ。感動するんです。喜怒哀楽って言葉で定義できないような複雑なエモーションが読者の中にたちあがってくる。ご自分のなかにそういう強い感情があるのか、それとも書かれた言葉にそれが宿っているのか、そこを知りたいんですけど。

山下 どうなんですかねえ。つながるかどうか分かんないですけど、ぼくは映画でいえばゴダールとロッキーが好きで。ゴダール観て、面白い、すごい、と思う一方で、ロッキー観て激しく感動する。

佐々木 カテゴリーが違いますけどね(笑)。監督名と作品名、役名と。ゴダールみたいな作品なのにロッキーのような感動をする、という訳ですね。

山下 「コルバトントリ」のラストもすごいベタですよ。

佐々木 この作品のあと半年間ほど小説を書かれていない、そしていままた書き始めた、と最初におっしゃっていましたけど、僕、今後の山下さんには、すごく短い作品と全然終りそうにないむちゃくちゃ長い作品、両方書いて欲しい。『砂漠ダンス』に併録されている「果樹園」、短いですけどすごく面白い。いま書いている作品は、これまでの4冊とどういう関係性があるんですか。

山下 いやまだ、ちょっと分からないですね。

佐々木 山下さんはスマホで小説書くんですよね。

山下 そうです。端からは「あのおっさん、ずーっとメールしてるなあ」と思われているでしょうね(笑)。

(2014年3月6日 下北沢B&Bにて)

コルバトントリ
山下澄人・著

定価:1,300円+税 発売日:2014年02月10日

詳しい内容はこちら
<新刊を読む>陣野俊史「山下澄人の魔法」

シチュエーションズ
佐々木敦・著

定価:1,750円+税 発売日:2013年12月12日

詳しい内容はこちら
<新刊を読む>山田亮太「私はいま、なにをしないではいられないか」
[週刊文春WEB] 青山真治「ジャンルを越境し、3・11を越境する批評集」


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