- 2016.12.13
- 書評
人生は冒険だ。たった一度の人生を「出る杭」として生きてみよう。
文:辻野 晃一郎
『「出る杭」は伸ばせ! なぜ日本からグーグルは生まれないのか?』 (辻野晃一郎 著)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
ソニーとグーグルで働いた後、私は2010年に起業した。組織を離れて「個」になったのは、理不尽なことを受け入れたり、高圧的な要求に従ったりすることを嫌うもともとの性格にもよるかもしれない。
起業した翌年3月には東日本大震災が発生したが、私の起業は、強い危機意識がきっかけになっている。その頃の日本は、まさに悪夢のようだった。民主党政権下でデフレが続き、リーマンショックの影響も残る中、経済の先行きは極めて不透明だった。ソニーという日本の宝物のような会社の凋落を目の当たりにし、その後グーグルという最強の黒船に乗り合わせる経験を経た自分にとって、「何か行動しなければ」というエネルギーを抑えることが出来なかった。
起業という挑戦を通じて私が実現したいことは、欧米型資本主義の限界を肌で感じる中、日本が生み出した価値を基軸に置いた事業やビジネススタイルを時代に合わせて再構築し世界に広めていくことだ。現在は、その考えに基づいた越境ECやクラウドファンディングの独自プラットフォームを開発、運営している。
起業は冒険だ。最初に考えた事業プラン通りに事が運ぶことなどまったくない。試行錯誤と失敗、挫折の連続だ。想定外のことが次々と起きるから、咄嗟の瞬発力や柔軟性が常に試される。だから安定志向の人には向いていない。計画通りにいかなかったり厳しい状態が続くと、逃げたり、言い訳したり、他に責任転嫁するような人にも向いていない。しかし、さまざまな困難や障害、想定外の出来事は、むしろ冒険に不可欠なエンターテインメントだ。胆力と忍耐力があり、何があっても肯定的にそのエンターテインメントを楽しむことができ、逃げずに前に進み続けるエネルギーや素早い行動力の持ち主には、これほど魅力的な世界もないだろう。
我々は、組織や肩書きに依存したり、周囲に気を使って言いたいことややりたいことを我慢しがちだ。だが、起業に限らず、「人生は冒険だ」と悟り、周囲との軋轢やさまざまな妨害があっても、思う存分主体的に「出る杭」としての人生を生きてみるのも悪くない。
インターネットやSNSが発達し、今はまさに「Wisdom of Crowds(群衆の叡智)」の時代だ。一人一人の「個」の才能、価値観、生活都合などが最大限に尊重されねばならない。これからは、さらなる技術革新や超高齢社会の到来など、未曾有の歴史的大変化が本格展開していく。求められるのは秀でた個人、「出る杭」だ。未来の課題を見据え、その解決策を求めて思い切った冒険の出来る人材がもっと必要だ。
冒険の先には見たこともない素晴らしい世界が広がっているに違いない。たった一度の人生だ。自分を信じ、あなたも新たな挑戦に一歩踏み出してみてはいかがだろうか。
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