インタビューほか

子どもの成長を支える「良い親6か条」

「本の話」編集部

『うちの子、なんでできないの? 親子を救う40のヒント』 (小笠原恵 著)

 ひどい忘れ物、たび重なるけんか、靴ひもが結べない、机を離れてウロウロする、先生に出された課題を他の児童と同時にできない、給食を時間内に食べられない……。新入生の学校生活が破綻しかねないこうした不適応症状を、「小1プロブレム」と呼ぶ。

 2009年に都内の公立小学校で行われた調査では、5分の1以上の教諭がこの小1プロブレムを経験し、うち約半数が年度末まで解決しなかった。原因として、児童に基本的な生活習慣が身についていないこと、家庭の教育力が低下していることなどが挙げられている。

 個人面談などでこうした学校での問題行動を指摘され、心配になった親御さんも多いのではないだろうか。

 東京学芸大学准教授の小笠原恵さんは、都内の幼稚園・保育園、小中学校で20年近く、先生たちの相談に乗ってきた臨床発達心理士だ。 このたび、家庭でもできる問題行動への対処法をまとめ、『うちの子、なんでできないの? 親子を救う40のヒント』(文藝春秋刊 発売中)を刊行した。

 発達段階で子どもが示す気になる行動を、親子の工夫で乗り越えようという内容だ。

「空間認知」とペンケース

 小笠原先生の解決策は、赤と白の色違いのひもを使って練習させる、というもの。左右のひもがどう交差するかを見て確かめられるため、上達が早くなる。

 都内で相談員をしていたとき、とにかく身の周りの片づけができない子がいました。お母さんの悩みは、学校に鉛筆を10本持って行くと、毎日全部なくして帰ってくること。

 よく聞くと、その子は当時流行っていた缶のペンケースを使っていたのです。そこで、一本ずつ鉛筆が収められる箱型の筆箱を使ったらどうか、とアドバイスしてみました。お母さんはその足で筆箱を買いに行ったようです。

 次の日、3時過ぎに電話があって、「先生、いま子どもが帰ってきたんですが、鉛筆が全部入っていました! 消しゴムもありました」と報告してくれました。

 専門的な言葉を使うと、こうしたお子さんは「空間認知」が弱いのですね。空間認知とは、そこにあるものが空間に占める状態や役割を理解する能力です。だから、目で見てわかる工夫をしたらできるようになった、ということです。

 1年生になったばかりのある女の子は、学校で着替えができず、1学期の間、体育の授業に毎回遅刻していました。家ではひとりで着替えることができるのに、です。

 担任の先生は、夏休みの間に参加した研修で「空間認知」という言葉を知ります。2学期が始まると先生は、あまっている机を教室の隅におき、「○○ちゃんの着替えスペース」という札を立てました。するとその子は体育の前に、スーッとその机の前にいき、着替え始めたのです。

 この子は自分の机を、「勉強をする場所」として覚えていたのですね。だから、着替えをする、という別の目的にこの空間を結びつけることができなかったのだと思います。

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うちの子、なんでできないの?
小笠原恵・著

定価:1155円(税込) 発売日:2011年10月22日

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