知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、店頭を華やかに飾るポップやパネルについて聞いてみました。
ポップがたくさんある本屋さんと見かけない本屋さんがあります。どんな本にポップをつけているのですか。ポップをつける本の選び方や書き方の工夫を教えてください。どんなポップがいいポップですか? (東京都 40代 男性)
内田剛(三省堂書店神田神保町本店)
デパートなどデベロッパーの都合で手書きポップがNGのお店もあります。個人的にポップを書くのが趣味で「売りたい本」に書くのが基本。いいポップは思わず足を止めて本を手にしてしまうポップでしょう。時にはその本以上に素晴らしいポップに出会うことも(苦笑)。
本の魅力を引き立ててくれるポップは書店の華。ついつい、気になってお財布の紐が緩むことも。そんなポップについての質問にお答えします。
自慢のポップの写真を見たいです。(大阪府 40代 男性)
高橋佐和子(山下書店南行徳店)
大手時代に作成しました、越谷オサムさんの『階段途中のビッグ・ノイズ』(幻冬舎文庫)のポップ。単行本時代は、まだ書店員ではなかったので知らなかった本が文庫化。「担当は違うのですが……」と営業さんに見せていただいたご案内の白黒用紙を見た瞬間、身体全体に鳥肌が立ち、これは絶対面白い! と思いました。上司に頼んで、最初に記入してあった数より多めに入れてもらいました。帰宅してすぐに針と糸を取り出し慣れない縫物をし、装丁が良かったので、ポップが邪魔をしないようにと考えながら愛情込めました。話の中に出てくる場面を再現したくてメモ帳をボード代わりに見立てました。このポップを見たお客様が、その当時私が知らなかったツイッターで画像を載せてくださったらしく、偶然画像を見た越谷オサムさんが「実物を見たくて」とご来店下さった経緯もあります。本も思った以上に売れましたし、嬉しかった忘れられないポップです。
野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
私はポップを書くのが非常に苦手です。しかし売り場を作っていく中で、今この本の右下にポップがあったなら、こちら側からいらっしゃるお客様の目がここで留まるに違いないのに、ということもあります。そんなときは頑張って書きます。商品とお客様の間に出会いが生まれるなら、書店員の得手不得手など関係ありません。ポップの文言は、必ずしも自分の言葉を使うことはありません。出版社のセールストークを手書き文字にして、印刷文字ばかりの売り場の中で目を引くようにしたりもします。どうすればこの商品を手に取ってもらえるか、売り場づくりはすべてそのことを念頭に考えています。
この写真は建築書棚の端、レジ横のメイン通路沿いにある商品台で展開している商品のポップです。『片づけの解剖図鑑』という商品で、同じシリーズが似た装丁で何冊もあり、まとめて展開しているのですが、装丁が似ているためにともするとお客様の目が流れて行ってしまう商品台になってしまいました。そこで、出版社から送られてきた販促パネルを張り、手書きポップを付けることにしました。商品は一般のお客様から専門職まで、幅広い方に家づくりの新しい視点を示しているものです。しかし装丁からはそれが伝わらず、手に取って少し読むだけでも伝わらないかもしれません。そこで、最初にこの本の意図をお伝えし、それを前提として手に取っていただくのはどうかと考えました。おかげさまで、非常に売れ行き好調です。
山本善之(くまざわ書店大手町店)
「ポップ」というと商品に付けるカード状のものをご想像なさっていらっしゃると思いますが、個人的には作成が苦手なのであまり上手く作れたものがありません(普段は得意なスタッフにお願いしています)。お求めのものではないかもしれませんが最近作った大型パネルの写真を提出致します。
ポップは物言わぬ販売員だ。と接客を始めたときに教わり、自分の中では、
・販売員の代わりに接客を補ってくれるもの
・販売員の能力を超えたアピールを代わりにしてくれるもの
だと思い利用しています。
また、販売員であるからにはAIDMAの法則を意識して、今回はその中のA「Attention(注意を引く)」を最大限補うにはどうしたらいいだろうと悩んだ結果、「とにかく大きくする」という結論に至った私が作ったポップがこの写真です。得意・不得意ありますが、日々工夫していっております。
戸木田直美(代官山蔦屋書店)
ひとつのフェアには、写真のようなポップポスターを、オリジナルで作っています。売場のコンシェルジュがテーマについて、伝えたいことを伝えたいように言葉を選んで綴る。とても大切なお客様に向けてのメッセージだと考えています。
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