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三十年間ずっと読んでもらえる理由は

三十年間ずっと読んでもらえる理由は

文:林 真理子

『「美」も「才」も うぬぼれ00s』 (林真理子 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #随筆・エッセイ

 エッセイにも度々書いている通り、偉い人、お金持ちの華やかな方々とのお付き合いは多いですね。だけど、その人たちの世界を見てみたいっていう好奇心に従って、お招きを受けたら、喜んで伺いますけども、一回参加して「ご馳走様!」って言うだけ。継続的にそっちの世界に入りたいなんて毛頭思ってませんし、入れるわけもない。あちらにとっても私という存在を面白がる気持ちはあるでしょうから、傍観者として見せてもらっているだけなんです。仲良しの友達はもちろんいますよ。でも、そもそも私とは違うと思ってるから、卑屈になることもありません。

 私の原点は、山梨の地方の庶民の娘、ということ。そこを忘れたことはないし、絶対に背伸びもしません。この本にも書いてますが、母は私に「自分がなにも持ってない人間だと知りなさい」ということを、社会に出て行くはなむけの言葉としてくれました。有難いことだと思ってます。

 私はあの有名作家の林真理子よ、みたいな自意識? ないない(笑)。だって、いまボランティアで地方の人たちと会ったり、講演に行ったりしていても、いかに自分が知名度ないか、思い知るんです。私の小説を読んだことない人が多いし、「実際はこんなもんだろうな」って。だからといって知名度あげるためにテレビにいっぱい出ようとも思いませんしね。

「テレビ見てます」って言って嬉しそうに寄ってくる人はあんまり仲良くなりたくない感じの人が多いし……身なりに構わない小汚いおばちゃんから「私、林さんと同い年なのよ」なんて言われて、嬉しいわけないですよ! 

 女性はいくつになっても、綺麗にして欲しい。って今の疲れた私が言うのは図々しいんですけど、この『「美」も「才」も』の頃、五十代前半までの間は、ダイエットも成功して、かなり自信があったんです(笑)。女性誌が「林真理子は現代女性のミューズ」なんて特集もしてくれたし……最近はそんなことしてくれませんけどね。

 今もダイエットはしてますが、この当時みたいな気合ではなかなかできません。皇室の話題も、折に触れ書いてきていますが、今回は特に多いですね。雅子さまの婚約から結婚、出産、紀宮さまの結婚、それから美智子さまのこと。女性の嫁ぎ先という意味でも興味があったこの頃に比べると、最近は皇室に対してそこまでは興味がなくなったかも。

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「美」も「才」も うぬぼれ00s
林真理子・著

定価:本体620円+税 発売日:2014年12月04日

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