- 2014.10.13
- 書評
リーダーの要諦は「思いやり」と「言行一致」
『論語』に学ぶビジネスの極意
文:佐々木 常夫
『ビジネスマンに贈る 生きる「論語」』 (佐々木常夫 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
『論語』とは弟子たちによる孔子の言行録である。
孔子の人柄の良さと教養の高さは評判であったが、秩序乱れる春秋時代ということもあって、本人はほとんど出世できずに恵まれない人生であった。それだけにその語る言葉は、自分の経験に裏打ちされた人間や社会のありようを深く捉えている。
論語は、人生で大切なことはなにか、人はどう生きるべきかを鋭い洞察力で説いており、いわばこの本は総合的人間学の書物といってよい。
我々はいま先行きの見えない「不安な時代」に生きている。
かつての日本は先の戦争の後、全員が夢中で一生懸命に働き、奇跡の経済復興を遂げた。経済は右肩上がりに成長し、皆働く喜びと経済的リターンを得る時代が続き、国全体が希望に満ちた活力ある時代であったといっていいだろう。
しかしバブル崩壊後、デフレ経済が続くなど、現在、多くの人が自分の将来に不安を持ち、希望を見出せずにいるようだ。
このような不安に覆われた閉塞的状況になったのは、多くの人が、従来の経済的、物質的な価値観に捉われすぎていて、生きることの本当の意味や価値に気付いていないからではないかと考える。
論語は「人はいかに生きるべきか」「人の生きる意味は何か」ということを、様々な切り口から我々に伝えている。
そういう意味で2500年前もの昔に著された論語の示唆する内容は今の時代においても、ますます重要性を増していると言ってよい。
論語をじっくり読むことで、いまこそ人が生きる意味と人生のあり方を根本から問い直し、自分の生きる道をつかみとってほしいと思う。
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