森戸 職場に限らず、日本では社会の隅々で「年齢」がそれなりに納得できる物ごとの基準になっているわけで、「エイジフリー」の導入はそれなりの覚悟がいることだと思います。
山田 私も『希望格差社会』に書きましたが、日本社会は「何歳までに進学するか」「何歳までに入社するか」といった規制があったおかげで、いい意味で「あきらめ」がついたということがあります。将棋界で二十六歳までに四段にならないとプロ棋士になれないというのもそうです。三十代、四十代になってもあきらめきれずに、いわゆるフリーター棋士が増えるとまずいですからね。
森戸 年齢であきらめるのは辛いけれど、いつあきらめていいかわからないというのも、結構辛い。逆に、あきらめたから、人間として強くなるということもあります。
「宝塚的人事制度」の勧め
山田 そういえば、最近、リタイヤした方が大学院で学ぶことが多いですね。先生よりも院生の平均年齢が高いゼミもあります。私も以前、年上の校長先生だった男性を院生として指導したことがありますが、お互いに「先生」と呼んで、敬語を使いあっていました(笑)。
森戸 ややこしいですね(笑)。
山田 不思議なことに、年上でも主婦など女性だと、「年齢ウンヌン」といった気兼ねがなく教えられるのです。ご指摘のように、日本社会に「年齢」が確固とした基準としてあるのは確かでしょうが、それは「男性社会」だからでもあるような気がします。女性は乗り越えられるかもしれません。
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