内澤 東京を取材して感じましたが、トイレの業界の方々は実に熱いというか、トイレを愛してるって人が多かった気がしましたね。
斉藤 全人類に幸せを! という使命感のような意気込みを感じたね。
内澤 小さいときの学校のトイレとかの記憶って、いい思い出がなくて、できれば自宅に帰るまでガマンするとか、からかわれたりするとか、トイレにはネガティブなイメージが強いんですよ。
斉藤 山崎小学校や秋葉原のトイレを設計した事務所の人は、与えられた条件の中で、いかに清潔感があり、快適な空間をプランニングするかに挑戦するのが苦労のし甲斐(がい)があるって言っていたしね。
内澤 パナソニックのトイレ部門の人は便座開口部のサイズの最適な長さを決めるサンプルを集めるために、女性からアメフトの体格のいい人まで全社員を総動員しましたって言ってましたね。
斉藤 便器の水深とおつりの相関関係まで調査して、便器を汚さず、かつおつり防止となる最適の距離を決めるとか、とにかくいかに快適に使用できるかを常に研究開発していると実に生き生きと説明してたなぁ。
内澤 私、男の人が座ってするときに足を広げてするって、このとき初めて知りましたよ。
斉藤 僕は逆、女性が閉じてするとは思わなかったよ。
内澤 しかし、東京のトイレの懐の深さは只者(ただもの)ではなかったですね。
斉藤 ホント。デコラティブでクラシックな旧岩崎邸から、インテリジェントトイレまで、過去現在未来と見てきて飽きることがなかった。
内澤 今回は個人宅へ行けなかったのが残念、といえば残念。
斉藤 ドクター中松さんや楳図(うめず)かずおさんのお宅のトイレには行ってみたかった。
内澤 東京に限らず、全国も見てみたいですよね。
斉藤 刑務所や沖縄のトイレにも魅力的なのがあるらしい。
内澤 相撲部屋もなんだかぜんぜん違う気がする。横綱専用とか、普通の力士の人のとか。
斉藤 そろそろ、準備に入りますか。