京都の桜のシーズンは3月中旬から4月下旬まで。長い期間どこかしらで楽しめる。染井吉野が散ったあとは仁和寺で「遅咲きを見る」。人の背の高さほどしかない可憐な「お多福桜」を一度は必ず見に行きたい。そして、散ってもなお美しい千本ゑんま堂の普賢象桜など。桜の樹に数えきれないほどの個性があるように、その楽しみ方も無限大に広がるものだと思う。
また、見方別になっている目次から索引し、その時の自分の気分に合わせて見ることもできる。例えば、誰もいないひっそりとした境内で静かに桜を眺めたい時もある。そんな時は本満寺や真如堂へ。凜と立つ一本の桜から心の琴線に触れる何かを感じるかもしれない。桜も見たいけど、京都の庭もぜひ見たいという時は高台寺や二条城へ。せっかく京都に来たのに、雨に降られてしまって……という時は「雨宝院」へ。雨の日でもわざわざ見に行きたくなる小さな花の寺だ。夕ご飯を食べたあとに夜桜を、という時は祇園白川で「夜の灯りと見る」。そのあとはお酒もはいって「ほろ酔い気分で見る」高瀬川へ。朝から夜まで一日中、京都の桜を楽しみ尽くせる。
紹介している80カ所のお花見どころは、哲学の道や嵐山など有名なところばかりでなく、穴場の寺社や子連れでふらりと気軽に行ける場所まで網羅している。
本文内には、「桜メモ」として、おおよその桜の見頃時期、主な桜の種類、本数などを記しているので、お花見に出かける時の参考にしていただければと思う。
また、桜巡りにかかせないのは「寄り道」。お花見どころ付近にあるおすすめの和菓子店、カフェ、おみやげ店などをイラストで紹介する「寄り道メモ」も掲載している。
各章の扉ページには、見た目にも楽しいコラージュの地図を作った。お花見どころや寄り道店を掲載している。
コラム「桜あそび」では、お手軽野点(のだて)と春の和菓子、とっておきのお花見弁当など、京都でのお花見をより楽しくするための提案をしている。京都の古い町並みに溶け込む佇まいの店へ、お弁当や和菓子を受け取りに行く道のりも楽しい。老舗料亭や茶道御用達店の予約制和菓子など、普段は手が届きにくいと思われがちな有名店の味を桜のもとで思う存分味わい、楽しんでみてはどうだろう?
文房具や手紙を書くことが好きな方にはぜひ、コラムの「桜便り」を見てほしい。桜巡りの寄り道で、桜柄の絵はがきや便箋を買い求め、京都の桜の名所の切手に桜の絵柄がはいっている風景印などを組み合わせて楽しもうという、桜づくしの便りの提案である。
巻末には、各所の詳細情報やライトアップ情報も合わせて収録している。本書を手に、心ゆくまで桜を眺め楽しんでいただきたいと思う。
京都が春色に染まるほんのわずかな期間、どうぞ心豊かに楽しい桜巡りを……。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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