今回は、全国の60歳以上の男女1000人ずつ2000人の性生活の実態調査アンケートを基にしています。
60歳以上の約5割が性行為を年に何回か行う「現役」であり、うち3割が「月に最低1回」は実践している、男女別では男性の約6割、女性の約3割が現役とわかりました。当然、「相手は誰?」という疑問に行き当たりますが、そこでは60歳過ぎても配偶者同士でセックスを続けている人が過半数、ともわかりました。
ただし、夫も妻も全員が全員、果たしてそれで満足か? セックスレス気味の夫婦がセックスをするときはいつなのか、ED治療にあたる医師の見解は、などさまざまな考察を試みることができました。
この10余年、携帯電話やパソコンによるインターネットが普及しましたが、ネット社会は高齢者のライフスタイルにも大きく関与し、恋愛と性に大きく貢献していることもわかりました。
配偶者が相手にしてくれない、パートナーもいない、EDや性交痛でセックスレス気味、病気で引退状態といった方々の告白も鑑みて、現役の人々にとってはSEXがアンチエイジングの妙薬となる事例が多いことも見えました。「先日の骨密度の診断は36歳でした。見た目は実年齢より10歳は若い、と言われます」という61歳の女性は、「離婚して20年余。パートナーと月に1~2回程度です。私にとってSEXは癒しでもあり、欲求の解消でもあり、愛の確認でもある。でも、最も重要な意義は体型と若さの維持にあります」と話してくれました。
高齢世代の愛と性は、単なる肉体の繋がりだけではなく、無縁社会が社会問題化している現代において、人と人との縁、絆と思えてなりません。
孤独死のニュースに接するたびに私は、「恋愛や性こそが孤独死を予防する力になるのでは」と思ってきました。互いの住居の行き来は周囲の目を意識するものであるにせよ、整理整頓を心がけて住居のゴミ屋敷化を防ぎ、携帯電話やパソコンで随時、連絡を取り合うことは安否確認にもなるからです。
本作には、「60歳を過ぎたら、自分に正直に生きていきたい」という人々の姿があります。パートナーが夫婦であれば確かにベストですが、いろいろな形の男女関係が高齢者にも成立している現代社会は、「人生にも恋にもSEXにも正直に生きたい」という次代へのメッセージが内包されているように思えました。
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