2015.10.31 書評

ソウルフードに魂をうばわれた?!

文: 飯窪 敏彦

『日本全国 ソウルフードを食べにいく』 (飯窪敏彦 著)

ソウルフードとは?  地元では日常的に親しまれているか、一歩その土地を離れると、なかなかお目にかかれなくなる「食べもの」。それゆえ郷土から離れた人たちが帰郷していの一番に食べたくなるもの。それがソウルフードなのだ。  郷土料理でなく、母の味でもない。町おこしでにわかに出来たものでもない。人々と店が長い時間をかけてつくりあげた、情熱、魂がこもった土地の味なのである。

どうやって生まれたか?

『日本全国 ソウルフードを食べにいく』 (飯窪敏彦 著)

 熱心な料理人の創意工夫から生まれたもの。全国にはすごいプロがいる。常に枕元にノートを置いて、寝ている間でもアイデアが閃いたら書きとめておく人。うどんを茹でるのに薪を使う人、トーストにあんこをのせた人、焼きそばにじゃがいもをゴロゴロ加えた人もすごい。カレー粉入りオムライスに福神漬をつけるユーモアのある人。土鍋の利点を生かした鍋焼きラーメンを考えたり……、その他たくさん。

「こうしんの店」の「じゃがいも入りやきそば(並)」

 店のまかない食からスタートした例も多い。残りものとか、手近にある食材をプラスして店のスタッフが食べているのを見つけた客が「俺にも食わせろ」と。旨いからメニューに加え、そしてそれが評判になり、店の看板メニューになって、町の名物にまでなっているものさえある。一つの皿に幾重にも盛ってあるものは、こんな生い立ちである。

メニュー名がユニークでおもしろい

「きんたろう」の「がたたん大」

 エスカロップ、がたたんスープ、ハントンライス、トルコライス、ボルガライス、タコライス、えびめし、ゼリーフライ、ごぼ天うどん、丸天うどん、わらじカツ丼、白熊、アイスぜんざい。これらがどこの、どんな食べものかわかりますか? すらすら答えられた人は、そうとう地方出張の多い方である。答えはこの本を見て下さい。

「元祖豚丼のぱんちょう」の「梅」

【次ページ】わたしの好み――ここだけの話

日本全国 ソウルフードを食べにいく
写真・文 飯窪敏彦

定価:本体700円+税 発売日:2015年10月09日

詳しい内容はこちら



こちらもおすすめ
書評赤身熟成塊肉、食のボーダレス化―― 最新東京食事情がこの1冊でわかる!(2014.12.02)
書評自らの舌で食べこんだラインアップが証明する真のグルメ(2014.10.26)
書評生まれ変わった老舗のグルメガイド(2012.12.11)
書評みんなと私の「おいしい!!」のため(2011.09.20)
インタビュー・対談この本の取材をして、味にうるさい夫から 「うまい!」と褒められるようになりました!(2015.09.12)
書評人気料理家3人のおいしい!が 1冊で味わえる奇跡のごちそう帖(2015.06.29)
書評作っておいしい、読んで楽しい 日本の食卓の100年を凝縮した一冊(2015.04.09)
インタビュー・対談面白くて美味しかった! 小林カツ代とっておきレシピ復活(2015.02.20)
書評「究極のご飯の味」を教える 親にできる教育はこれしかない(2013.11.07)
書評「自分の味」を育てる4つのコツ(2013.04.19)