こうして並べてみると脈絡がないようだが、気になることがあれば行動し、行動すれば何かしらの結果が出るとともに次にやりたいことが見えるというふうに、数珠つながりにはなっていると思う。
その中のひとつだった裁判傍聴記をまとめた本が運良く売れたために、傍聴マニアと思われ、戸惑っているとき、『週刊文春』でコラムを書く機会を与えられた。ぼくはちょうど50歳になっていた。
50にして天命がわからない男なのだけど、だからこそたしかめたいことがある。
同世代の男たちはいま何に迷い、どう打って出ようとしているのか。
この歳になって気になり始めたことに答えが出せるのか。
報道を鵜呑みにせず現場に行くことで体感できることがあるのでは。
いかん。この仕事は週刊誌。いちいちたしかめていたら身が持たん……。
往年のヒット曲をもじった“ガラスの50代”というタイトルが決まり、連載が始まると息つく間もなく締め切りが攻めてくる。
何かをして結果を出し、それを書くスタイルなので、ぐずぐずしていたら仕事にならない。毎回2ページ、原稿用紙約6枚。どんどん動き、余計なことは考えず、遭遇した出来事を活字にしていく。
接待ゴルフがニュースになればとろけるような接待を受け、日比谷公園に上半身裸の朝トレ軍団を発見すれば自分でも服を脱ぐ。ブラジャーを装着する男が増えていると聞き、その理由に肉薄するためにはつけてみるしかない。とうとう最後にはマラソン大会にまで出場するはめに。どうしてこうなるかと思うが、まったく飽きないのである。
こうして、ぼくの平凡さにはますます磨きがかかっていく。もう30年選手だ。大ベテランなのだ。それって成長がないということなのでは、という意見には、いまのところ耳を貸さないでおきたい。
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