- 2014.08.06
- インタビュー・対談
対談 石持浅海×水谷奏音
1度目は熱い官能小説として、2度目は怜悧な本格推理として再読を愉しめる『相互確証破壊』
『相互確証破壊』 (石持浅海 著)
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
星まわりで石持作品を読む
水谷 実は石持さんの生年月日をおうかがいしていたので、星まわりをちょっとみて参りました。一般的な星座占いというのは太陽の運行をもとにつくられています。太陽が12星座のうちどこを運行していたときに生まれたかで星座が決まるんです。また太陽だけではなく、月、水星、金星など冥王星までの10個の天体が生まれたときどの星座にいたか、ということも見ます。
石持 そうなんですか。
水谷 石持さんの太陽星座は射手座、月は天秤座、水星は蠍座、金星は射手座、火星は天秤座です。木星以降というのは動きが遅いので、同じ年代に生まれている方というのは皆さん同じになってしまうんですね。ですから個人のパーソナリティーをみる場合、太陽から火星までの5つの星にあてはまる星座でみます。石持さんは射手座が2つ、天秤座が2つ、蠍座が1つある。作品にも射手座と天秤座の特性が色濃く出ていると思いました。射手座って的に向けて矢を放つやいなや、次の標的に向かう、というところがあるのですが、沢山作品を書かれる理由もそこにあるのかな、と思います。
石持 ほぼそうです。一作書きあげると、たいてい次の日からは別の作品を始めます。
水谷 次へ、次へと常に未来に視点があるんですよね。
石持 忘れっぽいのかもしれません。2本くらい前に書いた小説の探偵の名前を忘れたりしますから。
水谷 だから色々なタイプの作品を読めるところも石持さんのいいところだと思うんです。そんなにシリーズ化もしないじゃないですか。
石持 シリーズキャラクターが私、碓氷優佳と座間味くんの2人しかいないですから。
水谷 第3話「三百メートル先から」のスナイパーなんて射手座そのものです。
「待っている間に」「相互確証破壊」「見下ろす部屋」には天秤座の要素があらわれています。天秤座は客観的視点をもっている星座なんですよ。理性で感情をコントロールするところがあって、事態を俯瞰してみれるんです。物事を正当化するのも得意。そこが勝手な部分とも言えるんですけど、いや、こういう考え方もあるんだよ、と説得するのが上手な星座なんです。
石持 ミステリー書きに向いていますね(笑)。蠍座はどうなりますか。
水谷 蠍座は、12星座の中で一番スピリチュアルなこと、また死や物事のダークサイドにかかわってくる星座です。水星は思考を司るので、蠍座がそこにあるということは、頭で考えることすベてがミステリーになり得る、ということと言えます。
石持さんはいつから小説を書きはじめたのですか。
石持 中学2年生の頃、冒険SFみたいなものを書いたのが最初です。当時はSF少年でした。アーサー・C・クラークとか王道を読んでいました。ミステリーは、小学生時代に横溝正史ブームがあって読んでいたものの、その後やや遠ざかっていました。大学の時、サークルでミステリー好きの友人がいて「島田荘司面白いぞ」と教えられ、そこからまた読み始めたんです。新本格の人たちが続々とデビューしてきた時期です。
水谷 冒険小説的趣きもある「三百メートル先から」ですが、ヒロインがとる行動には驚きました。
石持 彼女は今回の作品集のなかで最も若くてまだ学生です。他は皆、社会人です。彼女の未熟さが衝動的な行動を取らせ得るんです。
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