ある日とどいた一通の封書。中には、封をした一回り小さな封筒と、一通の手紙が入っている。その手紙は「1から1000までのうちから、数字を一つ思い浮かべろ」と命じていた。受取人の頭に浮かんだ数字は658。これはまったくランダムに選んだ数字のはずだった。だが、手紙の指示にしたがって小さな封筒を開いた男は、そこに入っていた紙片の内容に驚愕することになる。そこに記されていたのは――
おまえが選ぶ数字はわかっていた。658だ。
本書、アメリカのミステリ作家ジョン・ヴァードンのデイヴ・ガーニー・シリーズ第一作、Think of a Number (2010)は、そんな強烈な謎で幕を開けます。
この謎に挑むデイヴ・ガーニーは、妻と二人で自然豊かなニューヨーク州デラウェア郡の農場に住む退職刑事で、かつてはニューヨーク市警で名刑事の名を轟かせていました。問題の手紙を受け取ったマーク・メレリーはガーニーの大学時代の友人でした。