全国大会を目指す、かつての吹奏楽強豪校で、いきなり 部長に任命された一年生男子。全身全霊で部活に打ち込む日々は、 正しいのか? それとも──
かつて吹奏楽に一生懸命だった思い出、いま悩んでいること、 多くの方が、小説を読んで吹き出した想いを綴ってくださいました。
中学3年間、全日本大会に出場できず燃え尽きて卒業したアルトサックス奏者の茶園基。かつて伝説の吹奏楽部だった千間学園高校に進学、憧れの奏者、不破瑛太郎がコーチとしてやって来た事で、入部に消極的だった基の生活が一変する冒頭からページをめくる手が止まらない。
テクニックに溺れず、楽曲を深く理解する事に努め、表現力を追求して音楽に向き合い苦悩する基の存在が、同じパートの池辺や越谷、幼馴染みの玲於奈の姿勢を次第に変えていく様子がいい。大会に向けて高まっていく緊張感、演奏前の強い想い、コーチ経験を通して成長していく瑛太郎の姿。たとえ弱小でも吹奏楽部に携わった者が感じた事のある、あの感覚が凝縮されていた。
今、吹奏楽部に所属している我が子も音楽に向き合った時間が幸せな思い出になる様に、願いを込めて薦めた一冊。(ペンネーム:きなこさん)
主人公と同じAltosaxをずっと吹いていました。リードを加えてリガチャーをゆるめて……楽器を組み立てていたころのことを思い出しながら読みました。
最近よく言われるブラック部活でもあげられる吹奏楽ですが音楽を楽しみ音楽とともに笑い、泣き、怒る。そんな日々を思い出しました。
これからもまだ続く彼らの日々にこの一年間はどのような輝き、または色をもってあり続けるのだろう?
どうしても小説なんだから主人公とその取り巻く人になってしまうけど、この部にだって音楽には愛されてないけど愛している人がいるんだと思います。
この基は「愛されてる」人だけどそのまわりの人がもっと描かれているともっと好きになったかも。
ただただ競って敗れてしまった先輩たち。
一度手を離してしまった瑛太郎がまた手をつなげたようにその人々にも手をつなぐ相手がありますように、と玲於奈のオーボエのように祈りたいと思いました。(ペンネーム:かっこーさん)