「親や担任に「部活ばかりやるな」と言われ、自分でもその通りだと思いながらも足掻かずにはいられないあいつらを『ブラック部活動』の一言で片づけないでよ森崎さん」
そう叫んだ新任コーチ不破瑛太郎の言葉に。頭が痺れて気づくと涙がこみ上げてきました。
私はブラック部活動という言葉が嫌いです。何がどう嫌いかと言えばいいのか分からなかった部分が、この言葉で何か掴んだような気がします。
確かに精神的にも肉体的にも追い込まれていく強豪校のこれまでの部活動のやり方をそのままにはしてはいけないと思います。
しかし。
不破瑛太郎こそが部活動にのめりこみ過ぎて迷い道に入ってしまった。後輩には同じ事はさせまいとしつつも、それでも無茶をしてしまう無垢な高校生を。
「お前らが好きだ」と
「無駄だ等と絶対に言わせない、絶対にだ」と
否定ではなく受け入れた所が、一番感動しました。
不破瑛太郎はもがき苦しみながら、その境地を掴み大きく成長したんでしょうね。
高校生の部活動なんて懐かしい思い出の一つにしてほしい。それくらい様々な経験を踏んだ人生を送ってほしい。
けれど。人生の最後に今日のことを思い出したい。
それほど情熱を傾ける何かがあってもいいじゃないか。
そういう事を思いながらこの作品を読み終えました。
「風に恋う」は現在進行形な高校生は、リアルな実態を垣間見ながら悔いのない高校生活を送るための指南書として読んでいいと思います。
しかし恐らく一番心にぐっと刺さるのは、20代の若手社会人なのかもしれないと思いました。(渡邉典江さん)
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