それが簡単にできなくて、いつも苦労します。人の発した言葉が吹き出しになって、ついでに注釈もつけて、頭の上にしばらく出ていてくれないかな、と常々思います。それを取りこぼして悔しい思いをしたことは、仕事でもプライベートでも枚挙にいとまがありません。
その生ものを、取り逃がさず、冷凍保存するように固めておこうとすると、文字にして紙なりウェブなりで文章にすることになります。あるいは音声で聞き取りやすいように台詞(せりふ)となって録音されても良いでしょう。すると、整った文章となり、何度もじっくり読み返したり聞き直したりして、ああこういうことか、と理解しやすくなります。
そうやって生ものの言葉を固めていった先にあるのが、歴史の史資料だと思います。
大学で学んでいた日本史学は、過去に残された膨大な史資料を読み解き、その時代に起きた現象を筋道立てて説明する学問でした。数十年数百年の時を経て、ホコリをかぶった文献は、ヒンヤリとしていて、かび臭い紙の上に記された文章は揺れ動くことなく淡々と情報を示します。そのデータを、確立された手法にのっとって科学的に分析し、当時起きたであろう何かしらを再現してくれる学問で、いうなれば、電子レンジのような役割を果たしてくれます。
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