「キミ、文学部の出ぇかいな。文学部やのに、日本語話すのンが下手やなぁ」
大阪で勤務していた時、仕事先で大変よくして下さった方から、ラーメン屋でこう言われました。その方とは仕事で何度もやり取りをしましたが、こちらの変な物言いに何度も「何言うてんねん」と首をかしげさせてしまい、それでもお付き合いを続けて下さったことには、感謝の念しかありません。
言葉を紡ぐことの難しさを考える時、今でもこの言葉を、熱々のラーメンの味と共に思い出します。
言葉、特に喋(しゃべ)り言葉は生(なま)もので、形が定まっておらず、麺のようにつるりとしていて、何の気もなしにポンポン発することも、あっさり聞き流すこともできます。だからこそ、相手にきちんとかみ締めてもらえるよう、面白いスパイスを利かせつつ、緻密なレシピのように筋道を立ててわかりやすく伝えることが大事です。また、相手の発する言葉の意味を、文字通り、あるいは文字の裏にこめた意図を、取りこぼさず理解する能力も重要になります。
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